食事中にお皿を取ろうと手を伸ばしただけでぎっくり腰に。ぎっくり腰ってどうしてなるの?/ぎっくり腰(2)

pixta_553893_S.jpg腰痛は多くの日本人を悩ませている病気で、その有訴者率(自覚症状のある人の割合)は男性で1位、女性で2位を占め、年齢が高いほど有訴者率も上がります(平成25年国民生活基礎調査)。それほど腰痛は身近な悩みなのです。

ヨーロッパでは"魔女の一撃"と言われる「ぎっくり腰」。個人差はありますが、何かの拍子で腰に"グキッ"とした痛みが走り、直後は日常生活もままならないことも。
この痛み、どのように対処したらいいのでしょう。予防法はあるのでしょうか。そこで日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医でもある東京都立多摩総合医療センター院長の近藤泰児先生にお話を伺いました。

前の記事「あ、痛い! これって、ぎっくり腰!? そもそも「ぎっくり腰」ってどんな病気?/ぎっくり腰(1)」はこちら。

 

腰への負荷の積み重ねから、ぎっくり腰へ

ぎっくり腰は、まったく正常な腰椎(ようつい・腰の骨)に突然起きるものではなく、以前からの腰への負荷が積み重なっているところに、きっかけの動作が加わって起きると考えられています。腰への負荷の積み重ねは、遺伝的素因、労働、栄養、スポーツ、日常生活動作などにより個人差がありますが、共通してみられるのは加齢によるものです。

例えば、椎間板(ついかんばん)の小さな傷です。腰椎(ようつい・腰の骨)を形成する椎骨(ついこつ)は、椎体(ついたい)という骨が連結してできています。椎間板は椎体と椎体との間にあり、腰への負荷を和らげる働きがあります。年をとるとともに椎間板に痛みを起こさない程度の小さな傷が蓄積することがわかっています。これらの小さな傷が、何らかの動作をきっかけにして大きな傷となり、ぎっくり腰を発症するのではないかと考えられています。

そのため、重いものを持つ、転倒する、腰をひねるなどの大きな衝撃ではなく、靴下をはく、くしゃみをするなどの小さな動作でも起こりえます。

椎間板の損傷が原因と考えられるぎっくり腰以外にも、さまざまなものがぎっくり腰の原因ではないかと考えられています。

●腰や背中の筋肉の損傷(肉離れ、筋挫傷)や筋肉の疲労
椎間関節(椎骨と椎骨の間にある関節)の捻挫や損傷
椎体同士を結ぶ靭帯(じんたい)の亀裂・損傷
骨粗しょう症による小さな圧迫骨折 など

しかし、これらのぎっくり腰の原因と考えられるものの多くはレントゲン検査では写らない骨以外の損傷だったり、損傷の程度が小さくて加齢現象と重なったりしているため、MRI検査でも特定できないことが多いのです。ぎっくり腰を患って整形外科などを受診しても「原因は分かりません」と言われることが多いのはそのためです。

  

次の記事「ぎっくり腰は病院に行くべき? 行かなくてもよい?/ぎっくり腰(3)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり

<教えてくれた人>
近藤泰児(こんどう・たいじ)先生

東京都立多摩総合医療センター院長、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科名誉指導医、日本整形外科学会認定専門医・認定脊椎脊髄病医。1979年東京大学医学部卒業。都立駒込病院整形外科骨軟部腫瘍外科部長、東京都立府中病院(当時)副院長などを経て、2013年より現職。著書に『腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 正しい治療がわかる本』(法研)、『わかる!治す!防ぐ! いちばんやさしい腰痛の教科書』(アーク出版)など。

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