中高年以降で必ずといっていいほどよく見られる「首のイボ」は一種の加齢現象といえます。必ずしも治療を必要とする病気ではありませんが、加齢とともに増加したり、大きくなったりします。
「首のイボ」の種類や特徴、治療方法などについて、はなふさ皮膚科の花房火月先生に教えていただきました。
「首のイボを診てほしい」と訴える患者さんはとても多くなっていますが、「イボ」という呼び方は医学的な呼び方ではなく、通称です。
首にできるポツポツは、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」と呼ばれる表皮細胞の良性腫瘍である場合と、「軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)」といった真皮(しんぴ)(※)が突出した一種のヘルニアである場合がほとんどです。
※皮膚を構成する3層の一つ。表皮と皮下脂肪組織の間に位置する。
50代以上の「首のイボ」。主な種類と特徴は?
(1)脂漏性角化症(老人性疣贅(ゆうぜい))
● 直径1㎜~2㎝、褐色や黒褐色の表皮細胞が腫瘍化する良性腫瘍。紫外線や摩擦など皮膚へのダメージの蓄積が原因
●閉経など、女性ホルモンの減少と関連があるともいわれる
● 全身に急激に多発した場合などは、内臓腫瘍が潜んでいる可能性も(レーザー・トレラー兆候)
(2)軟性線維腫(アクロコルドン、スキンタッグと呼ばれることもある)
●直径2、3㎜~5㎜程度の真皮が突出するヘルニア。摩擦が大きな原因
●肌色の他、褐色や黒褐色などさまざま
●更年期を経過した中高年の女性に多く、肥満体、糖尿病との関連があると
●形状によって、以下の呼び方もある
【アクロコルドン】
小さく、あまり盛り上がっていない褐色のイボ
【スキンタッグ】
アクロコルドンより少し大きく突出しているイボ
【軟性線維腫】
直径5㎜程度の大型のイボ
◎放っておくと危険なイボとは?
数カ月で全身に急激に増えた場合は、内臓腫瘍が潜んでいることもあります(レーザー・トレラー兆候といいます)。また良性だと思っていても別の病気であることもあります。気になる症状がある場合は自己判断せず、皮膚科医に相談してみましょう。
次の記事「首のイボは治る! 4つの治療法&予防と再発防止のための注意点(2)」はこちら。
取材・文/古谷玲子(デコ)