毎日便が出るからと言って「全部出ている」わけじゃない? 勘違いしがちな「便秘」の定義

コロコロ便が出る! はほぼ便秘

コロコロ便は便秘の始まり

ウサギの糞のようにコロコロと丸い形の便を「コロコロ便」といいます。

腸でそれができる場合、原因は、水分不足や偏った食生活、ストレスや疲労による自律神経の乱れなどさまざまです。ですが、直腸や肛門でできる場合は、排出されずに残った「出残り便」がコロコロ化したものです。

出残り便は、最初は軟らかいのですが、直腸壁から水分がどんどん吸収されるので石のようにカチカチになっていきます。これが残便感となり、便意があってもなかなか出ない、無理にいきむと出血するなど、トラブルの原因となるのです。

出残り便がつくり出す便の2階建て構造

直腸は粘膜なので痛みを感じませんが、肛門には知覚神経が通っています。そのため、通常は空っぽのはずの肛門に便が残ると、残便感を感じてスッキリしません。

しかし、本来は通路である直腸や肛門に出残り便のある状態が続くと感覚がマヒし、便をためられるようになっていきます。すると、前日の硬い便の上に新しく下りてきた軟らかい便が積み重なる「2階建て構造」となります。

毎日排便があってもコロコロ便しか出ない場合は、こうした「2階建て構造による出口の便秘」状態になっていることを疑いましょう。

「2階建て構造となった出口の便秘」の図

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排出されなかった出残り便は、時間が経つほど水分が直腸壁からどんどん吸収されて、カチカチのコロコロ便化していく。

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

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