赤ちゃんへの口移しはNG? ヘルペス感染予防の基礎知識

「ヘルペス」とは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症の一種。感染したことのある人も多いのではないでしょうか? 今回は「症状が出ていない状態でも、他人にうつしてしまうことがある」という単純ヘルペスの感染について、横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科准教授の蒲原毅先生にお聞きしました。

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口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因となる「単純ヘルペスウイルス」は、あまり感染力の強いウイルスではありません。

風邪やインフルエンザのように空気感染することはなく、ウイルスを含んだ唾液などに手で触れたとしても、皮膚から感染するようなこともありません。

ヘルペスがうつるのは、粘膜同士が接触したときや、ウイルスを含んだ体液が粘膜に触れたときだけです。ヘルペス患者の使った食器を使いまわしたり、患部に触れた手でつい自分の口などに触れたりすると、ヘルペスに感染する恐れがあります。

口唇ヘルペスで注意したいのは、親から子供への感染です。

昔は、まだ歯の生えそろわない子供にものを食べさせるとき、親が噛んで柔らかくしてから与えることがありました。そのため、かつては非常に多くの人がヘルペスウイルスを保有していました。

現在は、そういった行為を避けるように産院で指導されることが多く、若年の患者数は減少傾向にあります。親がヘルペスを持っている場合は、親の食器で子供に食事をさせたり、顔を拭くタオルを共有したりといったことは避け、唾液や粘膜の接触に気をつけましょう。

また、キスなどのスキンシップによって口唇ヘルペスに感染することもよくあります。

ヘルペスに感染した経験のある人は、明らかな再発症状が出ていない場合でも、唇にぴりぴりとした違和感や痛がゆさがあるときは親密なスキンシップを避けましょう。いわゆるマウス・トゥ・マウスの接触でなくとも、目の粘膜や小さな傷などからウイルスが入り込むことがあり、危険です。

性器ヘルペスの場合も、感染経路は口唇ヘルペスと同様で、唾液や粘膜の接触によって感染します。

性器ヘルペス患者との性行為はもちろん、口唇ヘルペスの患者によるオーラルセックスによって性器ヘルペスに初感染することも珍しくありません。

また、性器ヘルペスは厄介なことに、無症状であっても体液中にウイルスが排出されているケースがあります。本人はウイルスをばらまいていることに無自覚な場合が多く、性器ヘルペスの感染が拡大している要因の一つとなっています。

実際、性器ヘルペス患者の7~8割は、無症状のヘルペス患者との性行為が原因でヘルペスに感染したという調査結果も存在しており、深刻な問題です。

これを避けるには、症状のない期間であってもコンドームをつけるなど、意識的な対応が必要となります。

ヘルペスウイルスは、一度感染してしまうと完全にウイルスを除去することができないため、感染予防がとても大切です。

ヘルペスに感染した経験のある人は、再発の症状が出ている間は他人との親密な接触を避けましょう。また、性的な接触に及ぶ場合は、無症状であってもコンドームをつけるなど、必ず適切な感染対策を心掛けてください。

 

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取材・文/高橋星羽(デコ)

 

<教えてくれた人>

蒲原 毅(かんばら・たけし)先生

1995年横浜市立大学医学部卒業。同附属市民総合医療センター皮膚科部長、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。帯状疱疹や皮膚病全般の診断と治療が専門。

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