自己診断はNG!「口唇ヘルペス」の効果的な治療法とは

「ヘルペス」とは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症の一種。感染してしまったことのある人も多いのではないでしょうか? 今回は「早めの対処が何よりも効果的」という口唇ヘルペスの治療方法について、横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科准教授の蒲原毅先生にお聞きしました。

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一般的な口唇ヘルペスの場合、発症から1週間程度で症状は自然に改善し、水疱がかさぶたになって治癒していきます。

ただ、赤く膨らんだ水疱は見た目も悪く、ちりちりするような痛がゆさをともなうため、できるだけ早く治したいもの。初感染と再発に分けて、それぞれ効果的な治療をご紹介します。


●初感染の場合

ヘルペスかな?と思ったら、できるだけ早く病院を受診してください。

水疱などの症状があるからといって必ずしも原因がヘルペスウイルスであるということはなく、アレルギーや水虫、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)など、他の疾患である可能性も十分にあります。自己診断は避け、必ず医師の診察を受けましょう。

「医師の診断を受ける前に、手持ちのかゆみ止めなどを使用するのは避けてください。多くの皮膚疾患に効果のある『ステロイド』は、ヘルペスの症状を悪化させます。市販の薬にもよく使われている成分なので、注意してください」(蒲原先生)

医師によって「ヘルペス」と診断されれば、抗ヘルペス薬が処方されます。塗り薬と飲み薬の2種類があり、症状の程度や傾向によってどちらにするか医師が判断します。免疫不全をともなう重症の場合は、点滴を行うこともあります。

主に使用されるのはアシクロビル(薬名:ゾビラックス)とバラシクロビル(薬名:バルトレックス)という2種類の成分です。

バラシクロビルはアシクロビルをより効きやすく改良したもので、両者の働きの仕組みに大きな差はありません。また、塗り薬のアシクロビルの効果が薄い場合は、ビダラビン(薬名:アラセナ)という成分の軟膏を使うこともあります。

これらはいずれもウイルスの増殖を抑える働きを持っているため、ウイルスが少ないうちに使いはじめないと効果が薄くなってしまいます。

そのため、受診はとにかくスピーディーに! 早めに薬を使いはじめれば、症状はより軽く、短期間で回復します。

 
●再発の場合

何度もヘルペスの再発を繰り返している人は、唇がむずがゆいような、ぴりぴりするような前触れの症状を感じたことがあるのではないでしょうか。表面的には変化がなくとも、この段階で抗ヘルペス薬を使用すると、症状が軽くなる、または、まったく出ないうちに再発が治まります。体のサインを見逃さないよう、気をつけてみてください。

市販の抗ヘルペス薬として、アシクロビルやビダラビンを配合した塗り薬が販売されています。「第1類医薬品」のため、薬局やドラッグストアで購入する際は薬剤師から説明を受ける必要がありますが、急に症状が現れたときのために手元に置いておくと便利です。

内服薬は市販されていないため、より早く治したい場合は病院を受診し、医師の処方を受けることをおすすめします。

年に何度かヘルペスが再発している人の場合、「またヘルペスか...」とそのまま放置したり、市販薬で済ませて病院に行かないということもあるでしょう。

ただし、ヘルペスが出るということは体の免疫力が下がっているということ。

いつものヘルペスだと思って見過ごしているうちに、重症化してしまうケースもあります。症状が現れてから1週間以上改善が見られない場合や、患部がどんどん広がっていくような場合は、改めて医師の診察を受けてください。

 

次の記事「20~30代に多い「性器ヘルペス」知っておきたい治療法/ヘルペス(6)」はこちら。

取材・文/高橋星羽(デコ)

 

 

<教えてくれた人>

蒲原 毅(かんばら・たけし)先生

1995年横浜市立大学医学部卒業。同附属市民総合医療センター皮膚科部長、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。帯状疱疹や皮膚病全般の診断と治療が専門。

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