【本作を第1回から読む】致死率は約4.6倍、およそ4分の1が未使用...チャイルドシートの「正しい使い方」と「ポイント」
『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』 (おると/KADOKAWA)第11回【全11回】
マッサージの効果から湿布の貼り方、薬の飲み方まで、私たちの日常には多くの医学知識が必要とされています。しかし、それらを正しく実践できている人は意外と少ないかもしれません。X(旧Twitter)で医療情報を発信し、フォロワー数12万(2024年2月時点)を有する話題の整形外科専門医・おると先生による『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』は、勘違いしがちな日常の中の医学知識を、丁寧に解説してくれます。自分の習慣は問題がないのか、一度チェックしてみましょう。
※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
薬の正しい飲み方・扱い方を知ろう!
<Check>
・薬の正しい飲み方・扱い方を知っておこう
・医師から処方された薬を他人にあげたり、もらったりするのは法律違反
薬を処方されると、飲み方についての説明があったり、あるいは説明の用紙をもらったりすることができます。
しかし、外来で患者さんからお話を聞くと、意図して逸脱した飲み方をしているケースや、飲み方を理解していないケースがあとを絶ちません。
飲み方は薬ごとにある程度決まっており、また医師や薬剤師の指導から逸脱した飲み方をしていると、正しい薬の効果を得られなかったり、副作用が強く出てしまったり、あるいは副作用が出たとしても医薬品副作用被害救済制度(適正に使用した薬で副作用が防げなかった場合の救済制度)を受けられなかったりなどのトラブルにつながりかねません。
今回でしっかり学ぶようにしましょう。
まず飲むタイミングについてなのですが、薬ごとにタイミングが違うため、間違えないようにしっかり確認しつつ次のように内服します。
・起床時→朝起きてすぐ
・食前→食事の約20~30分前
・食直前→食事の5分前~直前。お箸を持ったとき
・食後→食事終了から約30分以内
・食間→食事の約2時間後
・就寝前→寝る約30分前
・頓用→症状が出現したとき
食前・食後は、食事の直前直後ではなく、少し時間を空けるようにします。食間という飲み方の薬は数は少ないのですが、「食事中に薬を飲んでしまう」という人が少なくないので注意が必要です。
また、頓用に関しては「症状があるから......」と短時間しか空けずに追加投与してしまう方がいますが、こちらも最低で4~6時間空けて内服するほうが望ましいでしょう。
基本的に医師は、自分が処方した薬は次の内服タイミングから服用してもらうものと考えて処方しています。
例えば一日3回内服の薬を午前に処方すれば患者は昼食後から内服開始していると思っていますし、午後に処方すれば夕食後から開始していると考えています。しかしたまに、「当日に薬を受け取れなかった」や、さらには「処方箋の有効期限が切れた」などの連絡をもらうこともあります。継続している内服薬ならまだよいのですが、感染症例で抗生剤を処方したのに内服はおろか受け取りすらしていなかったなどとなると、感染が増悪している可能性が高く、もはや内服では手に負えなくなっている可能性もあり、非常に残念な気持ちになります。