朝が苦手なのは「低血圧」のせいではなかった? 寝起きをよくするために効果的な生活習慣とは

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『身体を壊す健康法』 (柳澤綾子/Gakken)第3回【全6回】

東大の研究員であり現役医師である柳澤綾子さんは、年間500本以上の論文を読む論文オタクでもあります。『身体を壊す健康法』は、そんな柳澤さんが、これまで当たり前とされてきた健康の常識を最新の研究結果をもとに一から見直し、正しい知識を優しく解説します。本書で健康の知識をアップデートしましょう。

※本記事は柳澤綾子著の書籍『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)から一部抜粋・編集しました。


「低血圧」と「朝が苦手」の関係性は、ほぼなし

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最新の推奨血圧は、上が120未満

「低血圧だから朝起きるのが辛くて......」や「血圧が低いから朝なかなか起きられないのよね」といった話、よく耳にします。何となく若い女性に多いような印象がありますが、これって医学的には本当なのでしょうか?

この「血圧」というもの、そもそも一体何でしょうか。血圧とは、血管というホースに対して内側を流れる液体である血液が与える圧力のこと。「血管壁(血管の壁)の内側に与える血液の圧力」を示しています。

心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と末梢血管での血液の流れやすさ(末梢血管抵抗)との組み合わせによって決まり、心拍出量×末梢血管抵抗で算出することができます(厳密にはこの他にも大動脈の弾力性や血液の粘性、血液の循環量などもかかわっていますが、今回はいったん置いておきましょう)。

そしてこのホースを押す力の一番強い圧力の数値を収縮期血圧(最高血圧)と呼び、一番圧力の低い所の数値を拡張期血圧(最低血圧)として表示します。

血圧の基準値は、ここ数十年で大きく改定されてきました。どの数値になると高血圧の扱いを受けるのかが、数年ごとに変わってしまったのです。

これは血圧が高い状態を続けている場合の血管壁の損傷や、それにともなって発症するさまざまな臓器での疾患が思いの他多岐にわたることが、最近の研究で次々と明らかになってきたためです。

現在最新の血圧の基準では「血圧は収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満までコントロールするほうが理想的」と言われています(1)。

 

柳澤綾子
医師、医学博士。東京大学大学院 医学系研究科 博士課程修了。大学院時代から公衆衛生学を専攻し、社会疫学、医療経済学およびデータサイエンスを学んできている。現在は、東京大学および国立国際医療研究センターにて研究を行いつつ、ママ女医の立場から健康格差解消のための啓蒙活動に尽力、講演、記事監修や執筆等を行っている。海外医療活動参加歴あり。パナマにて国際船医免許取得後、世界一周クルーズ船船医として世界中からの乗客のべ8000人以上を診察、世界27カ国の病院に紹介状を持って同行医師経験あり。

※本記事は柳澤綾子著の書籍『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)から一部抜粋・編集しました。

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