腕にしびれが出たら要注意! 加齢とともに増える関節の病気/首の痛み

pixta_16872832_S.jpg首は、約5㎏という人間の頭を支える関節の中でも重要な部位。そんな重い頭を支える首には、大きな負担がかかり、筋肉の疲労やストレスなどによって痛みが生じやすくなります。また、関節からの痛み、骨と骨の間にあるクッションの役割である椎間板からくる痛みのほか、内臓などの深刻な病気が隠れている場合もあるので、手足にしびれがある、眠れないほどの激痛がある、痛みが長引く、高熱を伴うといったときは、要注意です。

さまざまな首の痛みの症状やメカニズム、原因と治療、首の痛みに効果的な運動の方法などを、自治医科大学整形外科教授の竹下克志先生にお聞きしました。

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前の記事「5kgの重みに耐えている !? 首の痛みの多くは、筋肉の疲れ/首の痛み(1)」はこちら。

 

神経障害は放置するとますます重症に

首の痛みの大半は筋肉疲労からくる痛みで、姿勢をよくしたり運動したりすることで改善できることがほとんどですが、腕にしびれがある場合は、頚椎(けいつい)の病気が疑われます。頚椎に原因がある病気で代表的なのは「頚椎症」と「頚椎椎間板(ついかんばん)ヘルニア」で、日本ではそれぞれ数十万人の人がこの病気を患っているといわれています。

では、頚椎症とはどのような病気なのでしょうか?

背骨(脊椎)は、もともと椎骨という小さな骨が積み重なって構成され、その中を脊髄や神経根が通っています。通常、「首」と呼ばれる「頸椎」は、上から7番目の椎骨までを指します。椎間板は、椎骨と椎骨の間にある軟骨で、前後左右に動かす、回す、衝撃を和らげるなどの役割があります。首には体の運動機能に関わる神経組織が集中しており、一度神経を傷つけると自然に回復することはありません。

「頚椎症は骨と骨の間にあるクッションの役割である椎間板が、加齢などによって衰えて、亀裂が入ったり、つぶれたりすることが原因で、50歳代以降の中高年に多い病気です。頚椎が不安定になると、椎骨の端に骨棘(こつきょく)と呼ばれるとげのような出っ張りができ、その骨棘が脊椎の中を通る脊髄や神経根を圧迫するのです。痛くなったり楽になったりしながら、ゆっくりと進行していきます」(竹下先生)

頚椎症の症状には、どのような症状があるでしょうか?

●頚椎症状
動くことによって変形した椎骨が神経を圧迫したり刺激したりするので、首の痛みやこりが出て、動かしづらくなります。痛みは首筋のほか、後頭部から首、首から肩にかけて起きるので、肩こりや頭痛のほか、目の疲れ、めまい、耳鳴りを伴うこともあります。一般に頚椎症状の期間が長く、ゆっくり進行しながら神経根症状や脊髄症状が生じてきます。

●神経根症状
頚椎から出る神経は腕から指先へと延びているため、神経根の近くで問題が生じると、どの神経根が圧迫されたかによって、現れる症状が違ってきます。比較的多いのは、ひじを伸ばす筋肉を支配する7番目の神経根が圧迫されるケースです。

・手の指を広げられない、または手首のあたりからひじにかけての外側の感覚の異常(第1頸神経根)
・呼吸がしづらくなった(第3・第4頸神経根)
・ひじを曲げられない、腕を上げられない、またはひじから脇にかけての内側の感覚の異常(第5頸神経根)
・手首を反らすことができない、または親指と人差し指の先からひじにかけての感覚の異常(第6頸神経根)
・ひじを伸ばせない、または中指の先から手首にかけての感覚の異常(第7頸神経根)
・手の指を握れない、または薬指と小指の先から手首にかけての感覚の異常(第8頸神経根)

●脊髄症状
頚椎症のなかで最も重症なのが脊髄症状です。まず両手の手指にしびれが現れ、手指の動きが悪くなり、細かい動作がしづらくなる巧緻(こうち)運動障害(箸がうまく使えない、字が書けない、ボタンのかけ外しができないなど細かな作業ができない状態)に陥ります。また、進行すると脚のしびれや歩行障害など脚にも症状が現れるのが特徴です。脊髄は排泄などをコントロールする信号も送っているため、かなり重症になると、排泄異常に至ります。例えば、以下のような症状があったら、頚椎症がかなり進んでいることが予想されます。

・両手の手指がビリビリ、ジンジンして感覚が鈍くなるなどの「両手のしびれ感」
・ボタンがかけにくい、外しにくい、字が書きにくい、箸で小さいものをつかめない、ひもが結べないなどの「手指の動きのぎこちなさ」
・脚が突っ張って歩きにくい、階段の下りが怖い、つまずきやすいなどの「歩きにくさ」
・尿が出にくい、残尿感がある、頻尿や尿漏れがあるなどの「排尿の異常」

「脊髄障害は長引くと回復がかなり難しくなるので、放置せずにすぐに整形外科を受診することが大切です」(竹下先生)

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

竹下克志(たけした・かつし)先生

医師。自治医科大学整形外科教授。1987年東京大学医学部卒業、東京大学整形外科医局長、同大学医学部整形外科准教授などを経て、現職。脊椎(せきつい)外科(とくに側弯症)、痛み、バイオメカ、アウトカムを専門とする。著書に『そうだったのか!腰痛診療: エキスパートの診かた・考えかた・治しかた』(共著、南江堂)

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