突然襲われる上半身の痛み! 肩こりじゃない...疲れ?それとも重大な病気?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

突然襲われる上半身の痛み! 肩こりじゃない...疲れ?それとも重大な病気?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」 16225706.jpgあなたの身体のお悩みに医療法人社団同友会理事長高谷典秀先生が答える「なんでも健康相談」。今回はこんなお悩みに答えます。

 


突然上半身の痛みに襲われます...

55歳の男性です。突然の上半身の痛みについて教えてください。

駅の階段を登ったり、信号を小走りで渡ろうとしたときなど、たまにですが、上半身、胸から肩、首筋あたりにかけて、締め付けられるように痛みが走る事があります。

痛みが走ると、動けなくなるほどなので、その場に立ち止まるのですが、すると、ほんの2~3分くらいで痛みは引いていきます。

肩こりや筋肉痛でしたら、もっとじわじわと、長く痛むと思うのですが、急に痛み、引いていくので原因が分かりません。デスクワークを長く行っているので、疲れでしょうか。原因が分かりましたら教えてください。

  

狭心症の症状。

健診で異常なしでも循環器専門医受診を

今回は上半身の痛みについてのご相談です。なにか動いた時に、上半身、とくに胸を中心に、肩や首にまで放散される、締め付けられるような痛みが走るという事ですので、これらの症状からすると、狭心症を疑わなければなりません。

狭心症というのはよく耳にする病気かと思いますが、少しご説明をいたします。動脈硬化が全身に進んでいくと、心臓の血管も細くなり、血液が流れにくくなってしまいます。普段、安静にしている時には問題ないのですが、動いた時には、心臓が普段よりも一生懸命働いて、心拍数も上がり、心臓自身が必要とする血液も増えます。その際に心臓の血管が細いと、血液の流れが滞ってしまい、心臓の筋肉が虚血状態になり、胸が痛くなるのです。

動くのをやめてしばらく休んでいると、心臓が落ち着いて、痛みも和らぎます。痛みはだいたい数分から5分、人によっては10分くらい続くこともあり、胸の中央全体に締め付けられるような痛みがあったり、人によっては、今回のあなたのように首筋や肩へ痛みが放散することもあります。これが典型的な狭心症の症状です。

狭心症のうちは、血流が一時的に滞っているだけですので、早期に診断をすれば、カテーテル治療やバイパス手術などを行うことで心臓の機能に傷害を残すことなく治療をすることができます。しかし動脈硬化が進行すると、ある日突然、血管が完全に詰まってしまうことがあります。それが心筋梗塞です。そうなると血液の流れが完全に止まってしまうため、心臓の組織は壊死してしまい、元に戻らない傷害が起きてしまいます。人によっては、そこで突然亡くなられることもありますから、そうなる前に、きちんと精密検査をする必要があります。

狭心症は、安静時の心電図では所見が現れないこともありますので、健診や人間ドックなどでの安静時心電図検査の結果が問題なかったとしても、安心はしないでください。冒頭にご説明したような典型的な症状がある場合は、まず循環器専門医へ受診をして頂き、運動負荷心電図の検査を行ったり、最近では造影剤を使ったCT検査で、心臓の血管が細くなっているかどうかを検査することもできます。さらに疑いが強い場合には、一度入院をし、細い管を手から入れて血管を造影するカテーテル検査も必要になってきます。

もしも、おタバコをお吸いだったり、肥満や高脂血症、高血圧、糖尿病など、動脈硬化が進行しやすい危険因子をお持ちでしたら、特に注意が必要です。ぜひ一度、精密検査を受けてみてください。(老友新聞社)

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

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高谷 典秀 先生(たかや・のりひで)

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。

著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

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この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。"

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