アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第21回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の皮膚のかゆみ」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、清水みゆきです。
40代になってから、急に肌の乾燥して敏感になった気がする、カサカサだけでなくかゆみがひどいなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期はホルモンバランスの影響で皮膚のかゆみや乾燥など肌トラブルが多くなることがあります。
私が対応したお客様でも、閉経後に皮膚のかゆみや乾燥が悪化してお困りの方がいらっしゃいました。
ずっと愛用していた化粧品もヒリヒリして使えなくなり、メイクするとかゆくなるとお悩みだったそうです。
そんなSさん(52歳)が漢方で皮膚の乾燥やかゆみを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の皮膚のかゆみの原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
エストロゲンには、皮膚の水分維持に関わるセラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸の合成を促し、肌のハリや潤いを保つ役割があります。
そのため、エストロゲンが減少すると、皮膚が乾燥しやすくなります。
皮膚が乾燥するとバリア機能が低下して外部の刺激をうけやすくなり、かゆみや湿疹が起きやすくなります。
漢方医学的には、皮膚の乾燥は、血(栄養を運ぶ血液)の不足が原因であると考えられています。
血が不足すると皮膚に栄養が送られず皮脂や汗が出にくくなり、肌が乾燥しかゆみにつながります。
2.急に肌が敏感に・・・メイクするとかゆくて仕方ない!
Sさん(52歳女性)のエピソードをご紹介します。
高校1年生の息子さんとご主人(54歳)の3人家族で、パート勤務しているSさんは、コンビニの新作スイーツをご家族で食べるのがなによりの楽しみという主婦です。
1年ほど前に閉経を迎え、その頃から疲れやすさや頭痛が気になり始めたそうです。
50歳過ぎだし更年期だからしょうがないかと、とくに対策をすることもなく過ごしていたそうです。
しかし、最近になって、肌のひどい乾燥やかゆみを感じるようになり、これまで愛用していた基礎化粧品もヒリヒリとしみて使えなくなってしまったと途方に暮れていらっしゃいました。
「これまでとくに肌トラブルで悩んだこともなかったのに、急に肌が敏感になってしまって困っています。からだの皮膚もカサカサでかゆくてイライラするとつい搔いてしまいます。一番困っているのが顔の乾燥とかゆみです。目の周りや頬が乾燥してかゆく、すぐに手で触ってしい、赤くなっています。とくにメイクをするとかゆみが悪化するので、仕事の時も仕方なく、ほぼノーメイクで出勤しています。そのため周囲の目が気になります。
乾燥を防ぐためにしっかり保湿したい、最低限度のメイクはしたい、と夜な夜なネットで探していますが、なかなか自分にあった化粧品をみつけることができません。低刺激性とか、無添加とか、よさそうな化粧品をみつけてはお試しセットを注文しています。しょっちゅう化粧品が届くので、主人からは『いったい化粧品にいくら使っているんだ!』と責められることも・・・主人に皮膚のかゆみのつらさを訴えても『年のせいだろ』といって心配もしてくれません。
なんとかして肌トラブル解消したいと皮膚科を受診したら、ステロイド外用剤を処方されました。確かに薬を塗るとすぐにかゆみはなくなるのですが、塗るのをやめるとまたかゆくなってしまいます。ずっと薬を使い続けるのが不安になり、セカンドオピニオンで別の病院を受診したところ、漢方に詳しいお医者様から漢方を処方されました。
漢方を飲み始めて、まずからだのかゆみが落ち着き、イライラすることが減ってきたと感じました。1か月後には顔のかさつきもだいぶよくなって、気づけば頭痛の頻度も少なくなっていました。肌の調子が落ちついたせいか、やっと自分に合う化粧品も見つけることができたので、毎日の保湿ケアも欠かさないようにしています。もうメイクをしても顔がかゆくならないのでほっとしています。やっぱりいくつになっても女性は綺麗でいたいですよね」
健康的な肌を取り戻したSさんは明るい笑顔でお話してくださいました。
3.更年期の皮膚のかゆみは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による皮膚の乾燥やかゆみかもしれません。
<これって更年期の皮膚のかゆみ?チェックリスト>
・以前より肌が敏感になった、刺激を感じやすくなった
・目の乾燥(ドライアイ)や口内の乾燥(ドライマウス)も気になる
・暑くもないのに大量の汗をかいたり、のぼせたりする
女性ホルモンのバランスの乱れには医薬品としても認められている漢方薬が効果的です!
「できるだけからだに負担のない薬がいい」「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方にもおすすめです。
漢方は根本的な不調の改善を目的とした医学です。これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
また漢方薬は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちのからだの摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような症状に、その力を発揮してくれます。
漢方医学を日常に取り入れ、不調の改善と健康的な生活を送りませんか?
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けたりするのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Sさんが服用した漢方は「加味逍遙散合四物湯(かみしょうようさんごうしもつとう)」でした。
加味逍遙散合四物湯は、乱れた気のバランスや血の巡りをよくする加味逍遙散に、血を補う四物湯を加えた漢方です。
湿疹や皮膚炎、しみに効果があり、疲れやすさやイライラ、便秘も気になる方によく使われます。
更年期の皮膚のかゆみの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の皮膚のかゆみにおすすめの漢方薬>
●手足がほてる、皮膚や唇がかさつく、月経不順も気になる方:温経湯(うんけいとう)
血を補い乾燥した肌を潤しつつ、血流を改善する漢方薬です。
●のぼせやイライラも気になる方:温清飲(うんせいいん)
血を補う四物湯とからだの熱や炎症をとる黄連解毒湯を合わせた漢方です。血を補い肌の乾燥を潤しつつ、余分な熱を取り除いてかゆみをやわらげる漢方薬です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分の症状に効く漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.更年期の皮膚のかゆみはからだの内側から改善しよう!
「最近、肌がかさつく、乾燥が気になっている」
「かゆみがストレスで仕事に集中できない」
その皮膚の乾燥やかゆみの原因は更年期かもしれません。
漢方でからだの内側から改善して、更年期も明るい笑顔で過ごしていきましょう!