アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第25回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の不安感」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になって以降、不安感や焦りを強く感じる、不安感に襲われてなかなか眠れないなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期はホルモンバランスの影響で不安感が強くなることがあります。
私が対応したお客様でも、閉経が近づくとともに自分に自信がなくなり、急に強い不安感に襲われてお困りの方がいらっしゃいました。
友達と会うこともつらくなり閉じこもりがちとなって、家族からも心配されていたそうです。
そんなLさん(49歳)が漢方で不安感を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の不安感の原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れが自律神経を不安定な状態にするため、更年期には不安感が生じやすくなります。
漢方医学では、不安感は血(血液)や気(生命エネルギー)の不足・滞りが原因と考えられています。
女性は月経の度に血(血液)を消耗するため、更年期になると血が不足し、血から栄養を与えられる気の量や巡りのバランスが悪くなりがちです。
血は精神活動のための栄養源でもあり、脳に血が不足すると不安感が強くなります。
また、気が不足すると、からだが弱るだけでなく、気持ちもしっかり持てなくなります。
そして、気の巡りが悪くなって停滞すると、不安やうつうつとした気持ちが続いてしまいます。
2.閉経したら老ける?強い不安感で孤立・・・自分に自信がもてない49歳主婦
Lさん(49歳女性)のエピソードをご紹介します。
Lさんは専業主婦で、高校2年生の娘さんとご主人(53歳)の3人家族です。
趣味はガーデニングで四季折々の花を庭で咲かせています。
2年ほど前から、ひと月に2回きたと思ったら2日で終わる、次は3カ月ほど間隔があくというように、生理周期が乱れてきたそうです。
今はもう9カ月ほど生理がきておらず、ご自身でも「そろそろ閉経かな」と感じているそうです。
閉経を意識するようになってから、白髪や顔のたるみ、肌の乾燥が気になり、「老けることへの不安感」が強くなったとのことでした。
夫とも15年近く性交していないのもあり、「これで閉経してしまったら、もう自分が女でなくなるようでつらい」と不安な気持ちを抱えてお悩みでした。
「誰もが通る道だとはわかっているのですが、閉経したら女として終わりのような気がして・・・私は仕事もしていないただの主婦ですし、すっかり自分に自信がなくなってしまい、自分の容姿や老後のことなどが不安になります。不安感に襲われてあれこれ考え出すと、何も手がつかなくなり、動悸までしてきて、ぼんやり座ってリビングで過ごすことが多くなってしまいました。
『このままでいいんだろうか、いや、このままじゃいけない』と焦る気持ちもあります。でも、どうしたらいいかわかりません。何もする気力がわかず、ただただ不安感が増すばかりです。あんなに熱心にしていた趣味のガーデニングも放置したままで、庭が少しずつ荒れてきています。
娘のバレエ教室で仲良くなったママ友と月1回、定期的にランチ会をしているんですが、自分よりも見た目が若い友人たちと会うのが苦痛になって、足が遠のくようになってしまいました。毎回、ランチ会でみんなで遊びに行く計画を立てたりしていたので、参加しない私は誘われなくなって孤立しています」
自分では病気という感覚はなかったLさんですが、家に閉じこもりがちな状態を心配した家族に「一度病院に行ったほうがいい」と勧められ、ご一緒に心療内科を受診したそうです。
これまでの強い不安感を話すと、医師から「更年期の影響ではないか」と言われたLさん。
ホルモン療法や抗うつ薬には抵抗があることを相談したところ、医師からは漢方薬が処方されたそうです。
「処方された漢方薬を飲みはじめたところ、だんだんと動悸や強い不安感に襲われることが減ってきました。偶然、担当の医師が私よりも年上の女医の先生だったこともあり、閉経が不安という気持ちを伝えてみたんです。すると、『生理がなくなったからって女性でなくなるなんて考える必要はない』『白髪が気になるなら染めればいいし、むしろ白髪を活かしたグレイヘアというヘアスタイルもある』と明るく励まされ、閉経を前向きにとらえられるようになりました。
2カ月ほど漢方薬を飲み続けた結果、以前よりも笑えるようになり、友人とのランチ会にもまた参加できるようになりました。私が元気になって家族も喜んでいます。今はガーデニングに遊びの計画に、忙しくも楽しい時間を過ごしています」
そうお話してくださったLさんの笑顔が印象的でした。
3.更年期の不安感は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による不安感かもしれません。
<これって更年期の不安感?チェックリスト>
・急に強い不安感や焦りを感じるようになった
・不安感とともに動悸や息切れもある
・不安感に襲われてなかなか眠れない、途中でよく目が覚める
女性ホルモンのバランスの乱れには、さまざまな症状に効果と安全性が認められている医薬品の漢方薬が効果的です!
「できるだけからだに負担のない薬がいい」
「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方にもおすすめです。
「不安」「落込み」「疲れ」など女性ホルモンによるさまざまな症状に効果が認められている漢方薬はいくつもあります。
漢方は根本的な不調の改善と理想の健康を目的とした医学です。
これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
また漢方薬は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちのからだの摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような症状に、その力を発揮してくれます。
漢方医学を日常に取り入れ、不調の改善と健康的な生活を送りませんか?
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けたりするのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Lさんが服用した漢方は「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」でした。
桂枝加竜骨牡蛎湯は、気血のバランスを整えて精神を安定させる漢方薬です。
精神不安や不眠症、動悸によく使われます。
更年期の不安感の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の不安感におすすめの漢方薬>
●喉の詰まったような感じがある方:半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
気の巡りをよくして不安感を改善します。
●胃腸が弱く、心身ともに疲れている方に:加味帰脾湯(かみきひとう)
気血を補い体力を回復させながら、精神不安を改善します。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分の症状に効く漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.漢方でからだの内側からバランスを整えて、更年期の不安感から抜け出そう!
「このままでよいのだろうかと不安感や焦りを強く感じる」
「不安感が強くてなかなか眠れない」
気になるその不調は、更年期が原因かもしれません。
漢方でからだの内側からバランスを整えて、更年期も明るい笑顔で過ごしていきましょう!