女性は、50代を過ぎて更年期以降から体が新しいモードに入る----。そう指摘するのは、女性家庭医の常喜眞理先生。加齢や老化に伴う変化を知り、対策をしっかり立てて、素敵に年を重ねるにはどうすれば...?そこで常喜先生の著書『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る! 』(さくら舎)より、「健康寿命を楽しく伸ばす方法」を抜粋してご紹介します。
乳がんは閉経後でも発症
女性特有のがんは、閉経後もつねにチェックしておくようにしましょう。
乳がんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっています。
年齢別罹患率(りかんりつ)で多いのは30代から 50代前半までですが、90代でも発症する人がいるということは、閉経後でも脂肪細胞が女性ホルモンの代わりとなって活躍しているため。
だから乳がんの検査は年齢に関係なく、触診とマンモグラフィ、乳房超音波検査の3点セットで毎年受けておくことをおすすめします。
乳がんは1ヵ月で大きくなってしまうものもあるので、自分で乳房を触ってしこりが感じられたら、すぐに受診してください。
女性ホルモン過多で発症しやすいのは、子宮筋腫と卵巣のう腫です。
子宮筋腫は閉経後は小さくなることがありますが、良性の卵巣のう腫の一部はがん化してしまうこともあるので要注意です。
50歳以降は卵巣がん、子宮体がんの発症が増えます。
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの検査は、市区町村での対策型検診だけでは不十分です。
市区町村の検診はおもに子宮頸がん細胞診の検査だけなので、子宮体がん、卵巣がんの発見につながる経膣超音波検査も受けることをおすすめします。
私自身は年に1回、子宮頸がん細胞診と経膣超音波検査を受けています。
頸がん細胞診は、子宮下部の入り口部分から直接細胞を採取して、顕微鏡で観察します。
経腟超音波検査は、卵巣や子宮の様子をエコー(超音波)画像によって確認するもの。
そこで子宮内膜の厚さや構造に異常が見つかれば、さらに子宮体がん検査が必要と伝えられるはずです。
このほか、肝臓がん対策として、年1回は腹部超音波検査を受けておきたいところ。
とくに脂肪肝のある人は定期的に検診を受けることが大切です。
がんは自分の細胞なので、小さい段階では痛みや違和感などの自覚症状はありません。
がん細胞が大きくなり、占拠しはじめた頃から症状が出てきます。
体が圧迫され、異物として認識してから痛みや咳などが出てくるのです。
そうなるまで自分ではわからないので、定期的に検査しておく必要があります。
繰り返しますが、早く見つかれば治る病気なのに、発見が遅れて進行させてしまうのは悔しい限り。
治療が長引いてたいへんな思いをするだけです。
健康診断や検診は、転ばぬ先の杖といえるのではないでしょうか。
「常喜がおすすめする任意型のおもながん検診」をまとめてみます。
○乳房
・マンモグラフィ(毎年)
・触診(毎年)
・乳房超音波検査(毎年)
○大腸
・大腸内視鏡検査(5年に1回)
○胃
・ピロリ菌検査
・除菌(除菌後は胃内視鏡検査を毎年)
・胃内視鏡検査(2年に1回)
○子宮
・頸部
・頸がん細胞診(毎年)
・経腟超音波検査(毎年)
○肺
・胸部X線検査(毎年)
・胸部CT検査(2年に1回)
○肝臓
・腹部超音波検査(毎年)
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