あなたは「糖質制限」ダイエットをしたことがありますか?そのダイエットは成功しましたか? 実は巷にあふれる「糖質制限」ダイエットの方法は結構ハンパなものが多いのです。
数々のダイエット方法を実践した医師自身による「1日5g以下の徹底した糖質制限=糖質制限2.0」は正確な理論に基づいたシステマチックなダイエット方法をご紹介します。
※この記事は『ハードワークでも疲れないカラダを作る 糖質制限2.0』(西脇 俊二/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「野菜・果物にも気を付けて! 3日で脂肪になる「糖質」は徹底カットしよう/糖質制限2.0(6)」はこちら。
ミトコンドリアを活性化せよ
「断糖なんかしたら、頭が働かなくなりそう」
「糖質は、脳の唯一のエネルギー源なのに」と心配される方がよくいますが、これも杞憂です。
確かに、脳がエネルギー源にする物質はブドウ糖だけ。しかしブドウ糖は、体内で作ることができます。グリコーゲン、アミノ酸、脂肪酸など、ブドウ糖の原料になるものが体内には蓄えられています。新たな糖が入ってこなければ、肝臓がこれらの物質を分解してブドウ糖を生成します。
ですから、断糖しても脳はきちんと働きます。
ランチの糖摂取でドーパミン低下を起こし、倦怠感に満ちた昼下がりを過ごしていたころよりも、はるかに頭が冴えるでしょう。
さらに頭をフル回転させたいなら「ミトコンドリアを活性化させる」という方法もあります。
ミトコンドリアは、極小のエネルギー産生器官。ソーセージのような形をしていて、赤血球以外のすべての細胞の中に入っています。その量、なんと1京個以上。1兆の1万倍以上です。細胞1個あたりに300~400個。代謝の盛んな筋肉や肝臓、腎臓や脳には、数千個あります。全部かき集めると、体重の10%の重さに相当します。
糖を分解する方法とは別に、人体にはミトコンドリアを使ったエネルギー産生システムがあるのです。ところがこのミトコンドリア、年齢とともに数が減ります。減るだけでなく、各個体の活性度も下がります。中年になると疲れやすくなるのは、これも一因です。
では、ミトコンドリアを増やし、かつ元気にするには何が必要でしょうか。
答は「適度な運動」と「軽い断食」です。
具体的な方法は後述しますが、要は身体に負荷をかけ、「エネルギーが必要です!」というメッセージを送り、ミトコンドリアを目覚めさせるという作戦です。
糖に頼らず、ミトコンドリアを元気にする。これもまた「疲れない身体」を作る上で欠かせない視点といえるでしょう。
カロリーとGIは気にする必要なし
一旦糖を完全遮断しリセットするという思い切った方法をとらなかったこれまでの糖質制限は、似て非なる他のダイエット法との混同をも招いてきました。
1つは、前章でも触れたカロリー制限。
関連記事:「基礎代謝の落ちる40代。 ダイエットのカギは「断糖」と「運動」にあった!/糖質制限2.0(1)」
これまでの糖質制限も「糖質以外ならしっかり食べてOK」という立場をとってはきましたが、ご飯を「控える」程度ではさほど効果が出ず、ついついカロリー制限と併用した人もいたと思われます。
また、痩せることに没頭しすぎた人が食事量を減らし過ぎて身体を壊す、というケースが出たのも前述の通りです。
糖質制限2.0を行う際は、カロリーは気にしないことを鉄則としましょう。糖さえ摂らなければ、どれだけ食べても構いません。これは、リバウンドを防ぐ意味でも大事です。
カロリーダイエットは空腹感との戦いです。お腹が空いて辛いときは、身体も飢餓状態になっています。飢餓状態になると、身体は筋肉を分解してエネルギーを賄います。すると当然、筋肉は減ります。
基礎代謝の大半は、筋肉で行われます。筋肉が減れば、基礎代謝は下がります。つまり、ひたすら我慢するダイエットは太りやすい身体を作るのです。
そこへ、空腹に耐えかねて食べてしまえば、前より太ってしまうのは必至。それで焦ってまたダイエット、またリバウンド......と繰り返すごとに、太りやすい身体になってしまうのです。
さてもう1つ、糖質制限を「かじった」人が興味を持つダイエット法として、低GIダイエットと呼ばれるものもあります。
GI(Glycemic Index)とは、食後血糖値の上昇度を示す指標。低GI食品は、血糖値の上がるスピードが遅いのでダイエットに適している、という考えに基づく方法です。
たしかに、効果はある程度期待できます。しかし、これはそもそも糖質を摂ることを大前提としているので、糖質依存を断てない→ずっと誘惑と戦う→挫折する、というパターンに陥りがちです。
従来の糖質制限にも「野菜を先に、ご飯を最後に食べる」というノウハウがありますが、これも低GIダイエットと同様の理屈です。そして同じく、挫折しやすい方法です。
「食べる順番を変えて吸収を抑える」などといった小手先のワザではなく、「そもそも摂らない」。
これが、依存→ストレス→リバウンドの失敗ルートを断つ、最善の道です。
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