あなたは「糖質制限」ダイエットをしたことがありますか?そのダイエットは成功しましたか? 実は巷にあふれる「糖質制限」ダイエットの方法は結構ハンパなものが多いのです。
数々のダイエット方法を実践した医師自身による「1日5g以下の徹底した糖質制限=糖質制限2.0」は正確な理論に基づいたシステマチックなダイエット方法をご紹介します。
※この記事は『ハードワークでも疲れないカラダを作る 糖質制限2.0』(西脇 俊二/KADOKAWA)からの抜粋です。
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野菜や果物を「いいもの」と決めつけてはダメ
野菜は「健康食」の象徴のような食べ物です。たしかに、繊維質もビタミンも豊富な優れた食材であることは否定しません。
しかし、野菜にも糖質が含まれています。とくに根菜類には糖質がたっぷり。葉野菜でさえ、茎の部分に入っています。
さらに良くないのが果物です。従来の糖質制限を行ってきた人の中には、スイーツを果物に置き換えていた人も多いと思われますが、スイーツよりも、果物の糖分は危険です。
果物の糖、つまり果糖はもっとも慢性炎症を起こしやすい糖であることが、近年様々な研究を通してわかってきています。
慢性炎症、といわれても今ひとつイメージが湧きづらいですね。
「炎症」ならばわかるでしょう。皮膚や粘膜が赤く腫れたり、熱を持ったりヒリヒリ痛んだりするあの状態です。これは正確にいえば、急性炎症です。
対して慢性炎症は、赤みも熱も痛みもありません。見た目や感覚に何らの変化も起こさないまま、静かに進行するという怖い存在です。慢性炎症は、様々な病気や老化の原因になります。ダイエットのつもりで他の食べ物をやめ、果物を食べ続けていたら、痩せないどころか、いずれ身体を壊す恐れまであるのです。
「肉だけ食べる」も間違い
では肉だけ食べればよいか──というと、それも誤りです。
従来の糖質制限は「甘いものと炭水化物だけ抜こう」というアプローチが多かったため、肉ばかり食べる人が多く出ました。
その結果、消化不良で胃腸を壊したり、ビタミン不足で足がつったり、といったトラブルも続出。
世の中で信じられている「三大栄養素のバランス」は当てにならないと書きましたが、「糖質制限食」内でのバランスは、やはり保たなくてはいけません。そこを心がけていないと、かえって健康を損ないます。
この手の間違いを犯す人には共通の特徴があります。
それは、広く浅く情報を見て、できそうな手段だけ実践すること。
何に糖質が含まれているのか・いないのか、といった知識を持たないまま、やりたいことだけやる自己流に陥るのです。
その最たるものが、「揚げ物ばかり食べる」という間違い。
揚げ物の衣の部分は小麦粉。つまり炭水化物にほかなりません。
男性、とくに働き盛りのビジネスマンは自分で料理をしない人が多く、こうしたこともわかっていないことがあります。
これでは糖質制限にはならない上に、油が胃腸にも負担をかけます。代謝が落ちて、ますます疲れやすくなるのもデメリットです。
こうした問題が起こるのは、これまでの糖質制限が「食べ物」の範囲のみで行われていたせいです。
糖質制限2.0では、「食べ物以外」も含めてバランスを取ります。野菜や果物を摂らないぶんのビタミンやミネラルは、サプリで補給します。タンパク質の比率が高まった結果として起こる腎臓の負荷を考えて、「たくさん水を飲む」というフォローも行います。
つまみ食い知識でやりたいことだけやる糖質制限は、もうやめましょう。
理論に基づいてシステマチックに行うのが、これからの糖質制限です。
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