骨量は40歳から減り始める!「骨粗鬆症」セルフチェック

骨粗鬆症は骨がもろくなる病気。骨折しやすいため、歩けなくなって寝たきりにつながることがあります。しかも骨量は40歳ごろに減り始めるのだとか! そこで、長年、骨粗鬆症の治療を行っている伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生に、自己診断の方法や医療機関での検査などついてお聞きしました。

骨量は40歳から減り始める!「骨粗鬆症」セルフチェック 1906_p048_01.jpg

 

 

骨量は20歳がピーク!40歳から減り始める

私たちの全身を支えている骨。素肌や髪の毛とは異なり、その衰えを目で見て確かめることはできません。「骨の量である『骨量』は20歳ごろまでは増え続け、20~30歳代は維持されます。しかし40歳ごろに減り始めて閉経から15年間で急激に減少。その後も緩やかに減り続けます」と石橋英明先生は話します。

骨量が減り、骨がもろくなる病気が「骨粗鬆症」です。自分の骨の状態を知ることで、骨粗鬆症対策や骨折予防ができます。下の自己診断チェックシートを使い、自分の骨の状態を把握しましょう。


■いくつ当てはまる?骨粗鬆症の自己診断チェックシート

当てはまる項目にチェックを入れて、点数を合計しましょう

□普段から牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品をあまり摂らない...2 点
□豆腐、納豆などの大豆製品をあまり食べない...1 点
□小魚を丸ごと食べることが少ない...1 点
□お酒を毎日飲む...2 点
□タバコを吸う習慣がある...2 点
□散歩やウオーキングを定期的に行っていない...2 点
□背中や腰に痛みがある...4 点
□最近、背中や腰が曲がってきた...6 点
□若いころに比べて身長が3㎝以上縮んだ...6 点
□ささいなことで骨折した経験がある...10 点

【合計点数別の診断】
・0~3点:いまのところは骨粗鬆症の可能性は低いです。

・4~9点骨粗鬆症予備軍です。カルシウムの多い食事や適度な運動を心がけましょう。

・10~36点:骨粗鬆症の可能性が高いです。骨粗鬆症の治療を行う医療機関を受診して検査しましょう。
 

定期的に骨密度測定を受けることが大切です

先ほどの「チェックシート」で、「最後の4項目」に1つでも該当する人は、整形外科など医療機関で骨粗鬆症の検査を受けることをおすすめします。

4項目のうち、「背中や腰に痛みがある」「最近、背中や腰が曲がってきた」「若いころに比べて身長が3cm以上縮んだ」に該当する人は、椎間板がすり減っていることも考えらえますが、背骨の圧迫骨折が起きている可能性があります。「ささいなことで骨折した経験がある」に当てはまる場合は、すでに骨粗鬆症になっているかもしれません。

「骨の強さは年齢だけでなく、体重にも関連しています。女性の場合、簡単な計算式を使えば、骨粗鬆症になりやすいかが分かります」と石橋先生(下記参照)。年を取ると食事量が少なくなり体重は減少傾向に。80歳以上では骨量が減るため骨が弱くなって、骨粗鬆症のリスクが高まります。

 
検査を組み合わせていまの骨量を知ること

「女性は閉経後の約15年間で骨量が著しく減りますが、閉経期の50歳前後に一度、骨量を測定しておくと、成長期に十分な骨量を獲得していたかどうか推測できます」と石橋先生。成長期に骨量の増え方が足りなかった人や、閉経後の骨量の減り方が大きかった人は、60~70歳代で骨粗鬆症になりやすく注意が必要です。

骨粗鬆症の検査は、自治体の集団検診などでは簡便な「MD法」「超音波法」がよく行われます。一方、医療機関では、より精密な「X線」「DXA法(骨密度測定)」「骨代謝マーカー」などを行います(下記参照)。先ほどの4項目に当てはまる人は、医療機関で症状を伝えれば、保険適応で検査を受けられます。


骨粗鬆症かどうかを調べるにはさまざまな方法があります

<骨粗鬆症リスクのおおよその目安を知る>
下の計算式に自分の年齢、体重を当てはめてみましょう。


年齢 ― 体重 = □(20を超えると骨粗鬆症のリスクあり)

【計算例】Aさん70 歳、体重55kg
70 ― 55 = 15
→Aさんは20 より小さい値なので骨粗鬆症のリスクは低い。


 

<骨粗鬆症かどうかの検査を受ける>

自治体の検診などでよく行われる検査(医療機関でも行われています)
MD(エムディー)法
手の甲の骨をX線撮影し骨密度を判定。

超音波法
骨に当てた超音波の伝達速度などから骨量を測定。


医療機関で行われる検査
X線
脊柱をX線撮影して、脊柱の変形や圧迫骨折の有無を確認。

DXA(デキサ)法
2種類のエネルギーのX線で腰椎、大腿骨(だいたいこつ)、前腕などの骨密度を測定。

骨代謝マーカー
血液や尿を検査し、骨形成、骨吸収の程度を測定。

 

次の記事「2019年3月には「新薬」も登場!骨粗鬆症の治療法とは/持病(2)」はこちら。
取材・文/松澤ゆかり イラスト/やまだやすこ

 

 

<教えてくれた人>

石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長。東京大学医学部卒業後、三井記念病院、東京都老人医療センターなどを経て2014年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、人工関節手術。著書は『骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてが分かる本』(主婦の友社)など。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP