2019年3月には新薬も登場!「骨粗鬆症」の治療法

骨粗鬆症は骨がもろくなる病気。骨折しやすいため、歩けなくなって寝たきりにつながることがあります。しかも骨量は40歳ごろに減り始めるのだとか! そこで、長年、骨粗鬆症の治療を行っている伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生に、最新の治療薬などの治療法についてお聞きしました。

2019年3月には新薬も登場!「骨粗鬆症」の治療法 pixta_10262404_S.jpg前の記事「骨量は40歳から減り始める!「骨粗鬆症」セルフチェック/持病(1)」はこちら。

 
薬を替えながら長期的な治療を行う

骨粗鬆症の治療は、薬物治療が中心です。下図のように「骨吸収抑制薬」「骨形成促進薬」などがあります。近年、新しい薬の開発が行われ、2019年3月には「ロモソズマブ」が発売されました。治療効果が高い骨形成促進薬で、1カ月に1回、注射で投与。使用できる期間は1年間と決まっていますが、一度、別の薬に替えた後でも再び使えます。

「ロモソズマブを含む骨粗鬆症の薬の多くは、治療をやめると、せっかく増えた骨密度が減ります。自分の判断で治療を中断することがないように気を付けてください」と石橋先生。

石橋先生が骨粗鬆症の治療でよく使用する薬
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新しい薬「ロマソズマブ」の特徴は?

■メリット
・骨形成の効果が高く、腰椎の骨密度が1年間で10 ~15%増えたというデータがある。
・副作用が少ない

■デメリット
・通常1年間投与するが、やめたままにすると圧迫骨折を起こしやすい。
・他の骨吸収抑制薬を使用する必要がある。

 
骨粗鬆症の治療を続けて骨折しない骨づくりを

年を取るにつれて足元がおぼつかなくなり、ささいなことでつまずいて転ぶことが多くなります。骨粗鬆症の人は骨がもろくなっているため、転んだだけでも骨折しやすく、それがきっかけで寝たきりになってしまうことがあります。「80歳代、90歳代になっても、寝たきりにならず自分で歩ける生活を送るためには、骨折を予防することが第一。骨粗鬆症の治療を行う目的もそこにあります」と石橋先生。

骨を強くするには、治療薬に加えて上図のように、ビタミンDやカルシウムも欠かせません。ビタミンDを摂取するには、外に出て日光に当たり、なるべく魚を食べるのが効果的です。カルシウムは牛乳や小魚に含まれる成分。毎日摂るように心がけましょう。病院では、骨粗鬆症の治療薬としてビタミンDやカルシウムを処方しています。予備軍の人や骨粗鬆症が心配な人は、サプリメントや健康食品で補うと予防に役立ちます。

 
取材・文/松澤ゆかり イラスト/やまだやすこ

 

 

<教えてくれた人>

石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長。東京大学医学部卒業後、三井記念病院、東京都老人医療センターなどを経て2014年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、人工関節手術。著書は『骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてが分かる本』(主婦の友社)など。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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