変わる日本の最期の場「病院で亡くなる人は減少傾向」

「人生の最期のときまで住み慣れた自宅で過ごしたい」と願う人は多いですが、それをかなえるためには「在宅医療」や「在宅介護」の連携や、自分が終末期にどのような治療を受けたいかという「意思表示」が重要です。長年「在宅医療」に携わってきた医療法人アスムス理事長の太田秀樹先生に「在宅医療」と「延命治療」の現在についてお聞きしました。今回は、終末期医療の概要についてお伝えします。

変わる日本の最期の場「病院で亡くなる人は減少傾向」 pixta_37098831_S.jpg

 

かつての日本では、自宅で最期を迎えるのが当たり前でした。1951年には「自宅で亡くなる人」が82.5パーセントと多数を占め、「病院で亡くなる人」はわずか11.7パーセントでした。そして1980年頃に、自宅と病院の死亡数の逆転が見られます。
「当時、私が在宅医療をしていた地域では、世間体を気にして自宅から病院に移り、治療を尽くした格好で最期を迎えさせたい、と希望する家族が多くいました」と、在宅医療を28年間続ける太田先生は話します。現在は、自宅や施設で亡くなる人の割合が増加傾向にあります。その分、病院で亡くなる人が減っています。


最期を迎える場所は病院が減り自宅・施設が増加傾向!

変わる日本の最期の場「病院で亡くなる人は減少傾向」 1905_p099_01.jpg

出典:厚生労働省「人口動態統計」(2016年)を基に作成

 
終末期医療について話し合ったことがある人は約4割

一方で、終末期にどんな治療を受けたいかについて、家族と話し合っている人の割合は約40パーセントです。


終末期医療について家族や医療関係者と話したことはありますか?
変わる日本の最期の場「病院で亡くなる人は減少傾向」 1905_p099_02.jpg

出典:厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(2017年度)を基に作成

 

太田先生は「自分のため、残される家族のためにも、最期の迎え方の準備をしてほしいです」と話します。
こうした現状を頭に入れつつ、次の記事では「在宅医療」「延命治療」の変化についてみていきましょう。

 

次の記事「理想の在宅医療に欠かせない「地域包括ケアシステム」って?/延命治療(2)はこちら。

取材・文/松澤ゆかり

 

 

<教えてくれた人>

太田秀樹(おおた・ひでき)さん

医療法人アスムス理事長。医学博士。日本大学医学部卒業後、自治医科大学大学院修了。同大学整形外科医局長などを経て現職。著書は『「終活」としての在宅医療』(かもがわ出版)など。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP