すぐにつまずく、足元がおぼつかない...最近「歩く」ことで苦い経験が増えてきていませんか? その原因が加齢によって低下する「バランス能力」にあるというのは医師・安保雅博さんと理学療法士・中山恭秀さん。今回は、そんな二人の共著『家でも外でも「転ばない体」を2カ月でつくる!』(すばる舎)から、歩行時に転倒してしまう原因とバランス能力をアップできる簡単トレーニングの一部をお届けします。
【前回】片足立ちで20秒立てますか? すぐできる「バランス能力テスト」/転ばない体を2カ月でつくる
【最初から読む】低いソファから立つのが苦手・・・なら今すぐ「バランス能力」をチェック
歩きながら振り向く、歩きながら傘を開く...
歩いているときに転倒するのは、「複数のことを同時にする」場面で多いとされています。
一度に複数の動作をするのを、「二重課題」(dual task)と言います。
たとえば......
・歩きながらバッグから財布を取り出す
・歩いているときに、後ろから声をかけられて振り向く
・歩きながら傘を開く
これが高齢になると難しくなってくるのです。
視覚情報の低下や前庭覚からの情報の低下、筋力の低下など様々な影響を受けるため、頭(大脳)は一生懸命処理しています。
そのうえ、課題が複数あると、どうしても注意が分散されてしまいます。
その結果、処理しきれずにバランスを崩し、転倒につながる確率が高くなります。
できる限り、一度に複数のことはしない。
ひとつずつ分ける。
そう意識するだけでも、明らかに転倒するリスクを下げることができます。
・バッグから財布を取り出すときは立ち止まる
・振り向くときもまず立ち止まる
・傘を開くときも立ち止まる
また、時間のあるときに、あえて二重課題を練習することも有効です。
脳の処理能力を向上させることができます。
たとえば足踏みをしながら両手をたたいたり、紙を折ったり、歌を歌ったりなどです。
座ってするのが安全です。
【次回】スリッパははかない方がいい・・・!? 今すぐできる「転倒予防」/転ばない体を2カ月でつくる
イラスト/中村加代子
簡単なトレーニングや環境づくりで転倒は防げる! 医師と理学療法士が6章にわたって「転ばないための体作り」を教えてくれます