コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。
たんぱく質は食べだめができない。必要量を知り、毎日必ず食べよう
体重1㎏あたり1.2~1.5gのたんぱく質が必要
たんぱく質は、毎日どのくらいとればよいのでしょうか?
1日に必要なたんぱく質は最低限、体重1kgあたり1gとされ、60kgの人なら60gとる必要があります。
しかし、フレイルを予防するには、もっと多くとるべき!
できれば、体重1kgあたり1.2~1.5gのたんぱく質をとるようにしましょう。
自分に必要なたんぱく質量は、下の計算式で算出することができます。
●1日の必要量はどのくらい?
たんぱく質の必要量を計算してみよう
もし体重が60kgの人なら、必要なたんぱく質は72~90gになります。
特に高齢の女性には、たんぱく質の摂取量が少ない人が見られます。
十分にとるよう、心がけてみてください(腎不全の病態の方は適応外。たんぱく質の摂取量を増やす前に、かかりつけの医師に相談が必要です)。
ただし、肉や魚を100g食べれば、たんぱく質が100gとれるわけではありません。
食材には、たんぱく質以外の成分も含まれているので、昼食で200gのサーロインステーキを食べたとしても、摂取できるたんぱく質は30gほど。
1日に必要な量をとるには、倍以上のステーキが必要になります。
無理なくとるには、何回かに分けて食べたり、数種類の食品を組み合わせて食べるとよいでしょう。
たんぱく質は毎食補給。肉は高齢者にもおすすめ
そして、忘れてはならないのが、たんぱく質は食べだめができないということ。
たんぱく質を多く含む食品を一度に大量に食べても、体内で利用されなかったたんぱく質は、尿として排泄されてしまいます。
主にたんぱく質源といわれるのは、動物性食品の肉類、魚介類、卵、乳製品。
植物性食品では豆腐などの大豆製品です。
肉のたんぱく質は良質で、高齢者も積極的に食べてほしいもの。
そのうえで、魚も、卵も、豆腐も食べると、ビタミンやミネラルなど、たんぱく質以外の栄養素もとりやすくなります。
これらの食品を毎食、適度に食べるようにしましょう。
●とり入れたい!高たんぱく・低カロリーの優秀食品
※すべて100gあたり
※同じ牛肉でも、輸入牛に比べて和牛はカロリーが高め。また、とり肉では、もも肉も皮をむけば、むね肉と同じぐらいのカロリーになります。
出典:「日本食品標準成分表(七訂)」
イラスト/中村知史
要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説