「舌力」低下が肩こりの原因に!? 舌が深く関係する「鼻呼吸」を定着させる、おすすめ「マイルール」

舌が促す鼻呼吸こそ、本来の呼吸

そして舌には、鼻呼吸を促すという大事な役割があります。

そもそも呼吸は鼻で行うもの。口呼吸をするのは、哺乳動物ではヒトだけであり、他の哺乳動物は鼻呼吸しかしていません。

他の哺乳類とヒトとの大きな違いは、ヒトだけが言葉を発するということ。ヒトも新生児のときは鼻呼吸だけをしているのですが、言葉を発するようになると、口呼吸となる機会が増えてくるのです。

舌力の低下で大きな問題となるのは、鼻呼吸から口呼吸に変わりやすくなる点。舌を使う機会が減って衰えてしまい、呼吸筋として正しく機能してくれないと、横隔膜などを駆使する深くゆったりとした鼻呼吸ができなくなり、それを補うために浅く速い口呼吸がメインとなりやすいのです。

また、舌が衰えると呼吸に合わせた横隔膜の上下運動がスムーズにできなくなり、胸郭が上がったままで、猫背など不良姿勢や肩こりなどの原因になります。真正面から見て肩が上がったり、首が短くなったりしている人は要注意。胸郭が上がりっぱなしになり、舌も横隔膜も自在に使えなくなっている恐れがあります。試しに、下アゴを引き、肩をすくめて首に力を入れた状態で息をしてみてください。深呼吸はおろか、唾液をゴックンと飲み込むことすら難しいとわかるはずです。

口呼吸がクセになり、すっかり染み付いている現代人が、吸うときも吐くときも鼻呼吸をするのはちょっと大変でしょう。

しかし、口呼吸の悪いクセを、鼻呼吸へと早期に正しくスイッチするためには、「鼻から吸って鼻から吐く」という意識付けが重要。

タイミングはいつでもOKですが、起床直後、入浴後、就寝前などに、「鼻から吸って鼻から吐く深呼吸を10回する」などとマイルールを決めておくと継続しやすいでしょう。

 

桂文裕
医療法人秀康会ましきクリニック院長。医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医/上益城郡医師会理事。1964年、熊本生まれ。熊本大学医学部を卒業し耳鼻咽喉アレルギー科を専攻。大学病院時代は頭頸部がん治療に従事し、がん手術や最先端の免疫治療を行い治療成績の向上に貢献。舌との関わは深く「舌がんに対するリンパ球免疫療法」のテーマで医学博士を取得。2003年、熊本県益城町に「ましきクリニック」を開設。2016年に起きた熊本地震によって甚大な被害を受けたが、復興活動や避難住民の健康管理に携わり、「病気にならない町づくり」が自分の使命と確信。イベントや健康セミナーを定期的に開催し、町を元気にする活動を続ける。耳鼻咽喉科専門医として舌を診た患者数はのべ数十万人に及び「舌博士」としてマスコミにも出演多数。著書に、『12人の医院経営ケースファイル』(共著、中外医学社)、『健康医学』(共著、フローラル出版)がある。

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※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

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