「転倒骨折」が「寝たきり」の原因
高齢者が寝たきりになる一番の要因はなんでしょうか?
通常の生活を送っていてある日突然寝たきりになるわけではありません。
寝たきりはあるイベントが起こって寝たきりへのスタートとなります。
それは転倒骨折です。
転倒して背骨や大腿骨頭(大腿骨の骨盤側の根元)が骨折して動けなくなり、入院することによって全身の筋肉が萎縮し、立ち上がれないほどのダメージを受けます。
高齢者は10日間の安静入院で全身の筋肉の30 %を失ってしまいます(Extrem Physiol Med. 2015)。
その中でも特に失われるのは足の筋肉です。
高齢になるとたかが1回の入院で回復不能なレベルまで弱ってしまう可能性があるのです。
では転倒骨折をしないようにするにはどうしたらいいのか?
ほとんどの場合の対策は骨を強くするために薬を使用するという考え方です。
現在骨に沈着するカルシウムの濃度が低下する骨粗鬆症と診断される人は1300万人と言われています。
そのうち80%は女性です。
しかしいくら骨の密度を上げる薬を使っても骨折する人は減少していません。
それはなぜか? 骨折する一番の理由は骨が弱いからではないのです。
転倒するから骨が折れるのです。
高齢者全体の約20%に少なくとも年間1回は転倒し、転倒の5%程度に骨折が生じます。
骨折の多くは尻餅をついて倒れたときに起こります。
臀部の筋肉が少ないためにショックを吸収できず骨が折れるのです。
よって寝たきりにならないように、骨折しないためには転倒しない丈夫な体を維持しなくてはいけません。
そのために必要なことは何か? しっかりと安定的に歩行することができる体幹と足腰の筋肉を維持することです。
臀部を鍛えて骨折しないようなお尻の筋肉のクッションがあれば転倒しても骨折のリスクは下がります。