2019年も災害が多発。集中豪雨による堤防の決壊で、一帯が浸水してしまった映像は記憶に新しいと思います。「四季の国・日本」とは無縁の異常気象に、不安を感じている方は多いでしょう。集中豪雨、台風、地震と立て続けに災害が起きている現在、気象やインフラ整備はどうなっているのでしょうか? 今回は全国で展開している「無電柱化」について国土交通省道路局 環境安全・防災課課長補佐の南 知之さんにお話を伺いました。
兵庫県姫路市
全国で展開している無電柱化を知っていますか?
2019年の災害では電柱の倒壊が救急活動の妨げになりました。
これまでも国では「道路の防災性能の向上」「通行空間の安全性・快適性の確保」「良好な景観形成」を目的に全国で無電柱化(電力線や通信線などを地下に埋設)を進めており、2016年には無電柱化の推進に関する法律を制定。
主要道路を中心に2018年~2020年までに約2400kmの工事着手を目標に進めています。
出典:国土交通省ホームページ※ 全道路(高速自動車国道及び高速道路会社管理道路を除く)のうち、電柱、電線類のない延長の割合(2017年度末)で各道路管理者より聞き取りをしたもの
「水道管、ガス管などがある地下空間に電線を埋設するので、多数の企業との調整が必要で、埋設物の移設などを段階的に行うことになります。また、無電柱化は1事業あたり、平均約7年かかるんです」と南さんは言います。
さらに費用は国、電線管理者、地方公共団体で負担しており、無電柱化の工事を行うのに1kmあたり約5.3億円かかるため、なかなか進まないのが実情のようです。
「1995(平成7)年の阪神・淡路大震災では無電柱化の方が被害が少なく、安全性は明確になっていますが、費用がネックに。低コストに抑える取り組みを現在普及拡大しているところです」とは南さん。
無電柱化により車いすの方も移動しやすくなります。
皆が快適な生活を送れるよう推進中です。
京都府京都市南区愛媛県喜多郡内子町。無電柱化したことにより、すっきりとして美しい景観になりました。
取材・文/中沢文子