「複合災害」に備えるために知っておいて!「温暖化」と「豪雨」の関係

2019年も災害が多発。集中豪雨による堤防の決壊で、一帯が浸水してしまった映像は記憶に新しいと思います。「四季の国・日本」とは無縁の異常気象に、不安を感じている方は多いでしょう。集中豪雨、台風、地震と立て続けに災害が起きている現在、気象やインフラ整備はどうなっているのでしょうか? 今回は気候変動・異常気象の力学の専門家である中村尚(なかむら・ひさし)先生にお話を伺いました。

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台風や洪水が多発する時代ヘ複合災害に備えましょう

2018年に埼玉県熊谷では41.1度を記録。

全国の1時間の降水量50ミリ以上の年間発生回数は増加と、異常気象が続いています。

自然気候変動のシグナルの表(下記参照)を見ると、100年間の気温の変化は右肩上がりで、世界の0.70度に対し、日本は1.11度も上昇。

つまり日本は速いペースで温暖化が進んでいるのです。

地球温暖化は、人間による大気中の二酸化炭素など温室効果ガスの急激な増加が原因といわれます。

しかし水蒸気を含む温室効果ガス自体は気候に悪影響を及ぼしてはいないそうです。

「地球の大気に温室効果ガスがなければ、地表の平均気温は氷点下19度に下がってしまうので、農業や漁業ができず、人間は生活することができません。実は温室効果ガスのおかげで平均約15度の気温を保てているのですが、産業革命以降、温室効果ガスが急激に増加し続け、このような状況になったのです」と中村先生。

また、近年豪雨が多発していますが、それは積乱雲が発達しやすくなっているから。

その理由が日本近海の水温の上昇です。

過去100年の上昇率を見ると、日本は世界の海洋の平均値より、2~3倍のペースで温暖化が進行しているそうです。

「日本近海の水温は、冬の季節風の長期的な弱化などによって上昇します。水温が暖また海上に、夏になると季節風に乗て暖かい空気が熱帯から入りますが、水蒸気をたくさん含んでいるので積乱雲を発生させます。日本近海の水温が低ければ下から冷やされて積乱雲を発達させにくくするのですが、水温が高いと不安定な状態で陸地に入って積乱雲を発達させるため、豪雨が多発したのです」と中村先生。

この水温の上昇により、台風も衰えずに日本に上陸。

今後は猛烈な台風と豪雨の発生頻度が増加し、複数の災害が予想されているそうです。

「台風と地震などが立て続けに起こる複合災害の時代になりますので、そのつもりで備えを」と中村先生。状況を少しでも緩和するには温室効果ガスを減らすための省エネなどを心がけましょう。

2018 年7月豪雨の降水分布

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全国旬総雨量は過去35年で最大となりました
大雨特別警報発令11府県
犠牲者237名(行方不明8名)
住家全壊・半壊18,010戸
床上・床下浸水28,469戸
停電75,300戸
断水263,593戸
出典:気象庁報道発表資料(気象庁、2018年)

全国アメダス1時間降水量50mm以上の年間発生回数の経年変化(1976〜2019年)

2003p068_02.jpg出典:全国アメダスの1時間降水量50mm以上の年間発生回数(気象庁、2019年)

温暖化傾向に重なる「自然気候変動のシグナル」

●世界6~8月平均気温偏差の推移

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●日本6~8月平均気温偏差の推移

2003p069_01.jpg●日本の正偏差が大きかった年 TOP5

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日本周辺海域の温暖化による豪雨への影響

●温暖化以前

北上した梅雨前線に向けて熱帯から吹き込む気流は、日本近海が冷たいため安定化し、積乱雲を発達させにくい
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●温暖化後(現在→将来)

梅雨前線に吹き込む熱帯からの気流は、温暖化で海水温が上昇する日本近海からの熱・水蒸気補給により不安定になり、積乱雲が発達

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取材・文/中沢文子 写真/PIXTA・髙木千太郎 地図/小林美和子 イラスト/コウゼンアヤコ  

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<教えてくれた人>

中村 尚(なかむら・ひさし)先生

東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は気候変動・異常気象の力学。ワシントン大学大気科学科博士課程修了、プリンストン大学客員研究員、東京大学理学部助手、同大学院理学系研究科准教授・教授を経て、2011年より現職に。日本学術会議会員、気象庁異常気象分析検討会会長。著書に『「日本の四季」がなくなる日 連鎖する異常気象』など。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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