家族や友達、仕事仲間に頼み事をすると、「何だか悪いな」と思うことありますよね?でも、実は人に頼ることで「人とつながる」と、一人ではできないことに挑戦できたり、ワクワクできたり、自分にも周りにもいいことが起こるそうです。今回は、「人の助けを受け入れる力=受援力」の重要性を説く医師・吉田穂波さんの著書『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(あさ出版)から、「人に頼るときの心構えと方法」について連載形式でお届けします。
頼り合える関係につながる上手な断り方
困ったときに頼りやすい関係を築くために、あなた自身もできるだけ力を貸してあげられる存在になりたいと思いませんか?
いくら頼るのが相手にとっていいことだとしても、自分だけ周囲から助けられてばかりだと、次第に自己肯定感が下がってきます。
お互い気兼ねなく頼り、頼られる関係を築くためにも、ときには誰かに力を貸して、信頼関係をメンテナンスできるといいなと思います。
ただ、いつも相手の頼みを聞けるときばかりではありません。ここで一度断ってしまうと、もうなかなか頼ってもらえなくなるかな......と心配になるかもしれませんが、断り方の中にも工夫できるところがあります。
相手と助け合いの関係を続けたいときの断り方のポイントは、次の4つです。
(1)NOとは言わずに、まず真っ先に謝る
何かを頼むとき、相手もきっと、引き受けてくれるかな、断られるのではないかな、申し訳ないなと感じています。
ですから、先に、「申し訳ありません」「せっかくですが」「残念ですが......」と、謝ってしまいましょう。
自分の申し訳ないという気持ちを言葉にして先に伝えることが大切です。
(2)断る理由を伝える
断られたら、頼んだ相手はきっと気まずい思いをしたり、がっかりしたりします。
そんな相手の気持ちを軽くするために、自分がどうしてもその頼みを引き受けられなかった理由を伝えるようにしましょう。
「今からどうしても外出しなくてはならないんです」
「今日は夜に家族との約束があって、〇時までに家に帰らなくてはいけないんです」
「今日中に仕上げなくてはいけない仕事があって......」
など、きちんと理由を伝えることで、頼んだ相手は断られた理由が自分にあるわけではない、たまたまタイミングが悪かっただけなのだ、と納得できます。
(3)代案を出す
頼みを断らざるをえなかったとしても、それ以外に自分ができることがないかを探して、それを提案しましょう。
相手の力になりたいと考えていることを伝えるだけでも、相手は救われる気持ちになるはずです。
「今は無理ですが、2日後ではいかがですか?」
「私はお力になれませんが、〇〇課に過去の書類をもらうといいと思いますよ」
「私が持っている文書をメールで送りますので、それをもとにたたき台をつくってみたらどう?」
「あの人ならこの分野に詳しいですよ」
「あそこのお店、こういうピンチのときでも大量にコピーできてすごく便利ですよ」「納期が1カ月後ならできるのですが......」
「他に誰に頼めるかな......」
など、思いつくかぎりのアイデアを伝えましょう。
自分が直接は役に立てないとしても、問題解決のために一緒に考えようとしている姿勢が重要です。
(4)相手のことを考えているということを表現する
「ただでさえ忙しいのに、〇〇さんも大変ですね」
「いつも多方面で頑張ってくださっていて、本当に助けられています」
「優秀な人ほど仕事が回ってくるんですよね」
など、困っている相手を労う言葉を伝えることで、力になれなくても相手のことを好ましく思い、応援している気持ちは伝えましょう。
この4つの断り方のポイントを意識すれば、お互いが気持ちよく頼み、頼まれる関係を築くことができます。
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