「人生100年時代」「老後2000万円不足問題」。良く耳にするけど、なんとなくしか理解していない...という方も多いのではないでしょうか?そこで、家計再生のプロフェッショナル・横山さんの著書「横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか?」(KADOKAWA)より、「老後のお金に困らない仕組み」を作るためのエッセンスをご紹介。ぜひ「自分の場合はどうなのだろう」と考えるきっかけにしてみてください。
「人生100年時代」って、そもそもどういうこと?
今では当たり前のように「人生100年時代」と言われていますが、元をたどると2016年10月に日本で出版された一冊の本に行き着きます。
『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』です。著者は働き方改革の原点とも言われた『ワーク・シフト』を書いたリンダ・グラットン氏と、マクロ経済学と長寿研究の権威であるアンドリュー・スコット氏の二人。その内容は衝撃的なものでした。
日本では、2007年生まれの子どもの50%が、107歳まで生きると推測される。その2107年には100歳まで生きることはごく当たり前になっているだろう。
平均寿命が80歳くらいまでは人生のステージは「教育→仕事→引退」という3段階で考えられてきたが、100歳を超えるとなると学び直しや複数の仕事を同時に行うマルチステージの人生へと移行していくはずだ。
100年の人生は長い。未来の日本人は老後の資産問題だけでなく、家族、人間関係、知識、健康といったお金に換算できない「見えない資産」をどう作っていくのかが問われることになる。
私たち日本人への警鐘と一つの命題を示したのです。
本の出版から約1年後の2017年9月、安倍首相を議長とする「人生100年時代構想会議」が発足しました。「人生100年時代」という言葉が日本の国政の場に登場した瞬間です。
この場には有識者として著者のリンダ・グラットン氏が招かれ、「長寿国日本が生産性の高い長寿社会をどう維持するのか、世界の注目が集まっている」と語りました。
その後、「人生100年時代構想会議」は回を重ねて、2018年6月の第9回では「人づくり革命基本構想」が公表され、幼児教育の無償化のほか、学び直しの支援、高齢者雇用の促進などが盛り込まれました。
「高齢者の就業促進」については、2019年5月に開催された「ニッポン一億総活躍プラン」と「働き方改革実行計画」の合同会合でも触れられています。
政府主導の動きだけでなく若手議員からも改革の声が上がり始め、2019年4月には、小泉進次郎氏が自民党政務調査会厚生労働部会で「新時代の社会保障改革ビジョン」を発表。ここで「人生100年時代」という言葉を使って、社会保障制度のバランス改革、現役世代と高齢者の概念の見直し、生き方・働き方のレールからの解放などの政策提言が盛り込まれました。
また、「令和時代の7つの改革」の冒頭には、「勤労者皆社会保険~人生100年時代のセーフティーネット」「人生100年型年金制度~選択できる年金制度へ」という柱が打ち出されました。
2019年6月に来日したリンダ・グラットン氏は小泉進次郎氏の提言を高く評価し、二人の対談では日本の年金制度や働き方の実態をもとに、政治が果たすべき役割を中心に、「人間とは何か」が問われる人生100年時代のあり方について語り合いました。
「人生100年時代」は、もう遠い未来の話ではないのです。
マルチステージの人生に向けて、働く人すべてが新しい働き方を考える段階に来ています。
年金や貯金などの老後資産だけでなく、人間関係や健康といった「見えない資産」を作っていくため、一人ひとりができることを今から始めましょう。
6章にわたって、豊富なデータをグラフや表を使ってわかりやすく解説してくれています