初対面の人との会話や大勢の前で話すと緊張しちゃう...それ、演劇の手法で簡単に撃退できます!3万人以上の俳優や声優を指導した演劇トレーナー・伊藤丈恭さんの著書『人前で変に緊張しなくなるすごい方法』(アスコム)から、「他人と話すことが楽になる」メソッドを連載形式でお届け。あなたを悩ます「緊張」は必ずとることができます。
"リラックスした集中"をマスターすればあなた本来の力を発揮できる!
集中は緊張をとってくれます。そして緊張がとれた状態では身も心もリラックスしています。つまり、緊張をとるためのひとつの手段が集中することであり、集中=リラックスしている状態、ということになります。
こういうと、意外に思われる方が少なくないかもしれませんね。集中すると緊張がとれるというのはわかる気がしますが、集中するには心身に力を入れる必要があるのではないでしょうか? リラックスした状態で緊張がとれるのですか? とも言いたいのでしょう。
実際、集中というと、演技の世界でも初心者は、大きく息を吸って眉間に力を入れている姿がよく見受けられます。言うまでもなくこれは緊張を呼び込んでいて、本当の意味の集中=緊張がとれているのとはほど遠い状態です。
世の中には「緊張しい」がずいぶんと多いようですが、そのなかには性格的なことではなく、緊張をとるための方法論を間違えている人も相当数いるのかもしれません。
では、"正しい集中"つまり、緊張をとってくれる集中はどうしたら身につくのでしょう。ここで毎日できる、簡単な練習方法をお教えしましょう。
テレビかラジオをつけて、そこでやっている番組のことがまったく気にならなくなるまで仕事をしたり、プライベートで気になっていることを考えてみてください。
はい、これだけでOKです。この方法を行う際のコツは、集中できているかな、と確認しないことです。確認した瞬間に集中が切れてテレビに気が行ってしまいます。確認などせず集中していってください。
もちろん、一朝一夕ですぐできるようになるわけではありませんが、やがて集中とリラックスがバランスよく混じり合った状態(つまり、緊張とは最もほど遠い状態)があなたのものになるはずです。
この状態の究極型が「ゾーンに入る」といわれるものです。プロ野球のヒーローインタビューで、ホームランを打った選手が「球が止まって見えた」というコメントをすることがありますが、これこそがゾーンに入った状態なのでしょう。
自分でも信じられないようなスーパープレイをやってのけられるのは、「ゾーンに入った」状態のときなのです。リラックスと集中がほどよく混じり合った状態で、こんなときほど最大限の能力が発揮できるのです。
ちなみに演劇用語では、この状態をサモチューフストビエと呼んでいます。
どんなに緊張する場面でもあなたなりの〝楽しい〟を見つけるのが大切
本当の意味の集中はリラックスした状態でこそ可能となる。そして緊張をとるにはリラックスした集中が必要である、ということはおわかりいただけたかと思います。
では、自分が「リラックスした集中状態」にあることはどうすればわかるのでしょうか。これには確たる判断基準があります。自分が楽しいか楽しくないか。この一点です。ただし、自分は集中できているか、リラックスできているか、などと確認してはいけません。
そんなことを確認しようというのは、楽しめていない証拠です。楽しめているときは確認しようという気にもならないはずです。
子ども時代、夢中で遊んでいたときのことを思い出してください。野原を駆け巡り山賊ごっこをしたり蝶や虫を採る。あるいは川にもぐってフナやザリガニを捕獲する。
大阪の淀川沿いで育った私は、遊んでいるとき本当に楽しかったことをいまでもよくおぼえています。
じつはこういうときこそが、いちばんいい形で集中してリラックスできているのです。そんなときに「オレ、楽しめてるかな?」なんて確認する子はいないはずです。
「でもそれは子どもだからできることで、大の大人が腹の底から楽しめることなんてそうはないんじゃないですか」
そういう声も聞こえてきそうですが、そんなことはありません。楽しみはいくらでも見つけることができるはずです。
本来なら緊張する場面を、想像力を駆使することで楽しい場面に替え、緊張を追い出してしまうという方法もあります。
たとえば、あなたが就職の世話をしてもらうために、初対面の年上の人と会う約束をしたとしましょう。いってみれば、実質的な面接試験です。そんなとき、どんな質問をされるのか、こんなことを聞かれたらどう答えようか、などと考えていると、ますます緊張を高めてしまうことになります。
緊張した状態では、自分の持っている力を100パーセント発揮できないことは、すでにあなたもご存じのはずです。
では、こんなときはどうしたらいいのでしょう。開き直って楽しい想像をしてみるのです。
その人がどんな性格なのか、どんな人生を送ってきたのか、などをいろいろと想像してみるのもいいでしょう。いまや業界の大物となったその人ですが、じつは意外とセコくて部下と飲むコーヒー代も割り勘にしているとか、奥さんに浮気がバレて以来、一日500円の小遣いしかもらっていないとか、好き勝手に想像の翼を広げてみるのです。
こうすることであなたはすっかりリラックス。年上の大物とも緊張せずに向き合えるのです。
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