いつかは必ず発生してしまう「相続」。家族の死という悲しみの後に、せめてその手続きだけでも円満に進めたいものです。そのためには、みんなが元気なうちから用意しておくことが重要。東京国際司法書士事務所代表の鈴木敏弘先生と、司法書士小脇事務所所長・小脇盛先生に、「二次相続」についてお聞きしました。
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二次相続はもめることが多い
夫婦2人のうち、先に亡くなった人の相続を一次相続、後から亡くなった人の相続を二次相続といいます。「夫婦に複数の子どもがいる場合、一次相続は円満に行われても、二次相続でもめるケースが目立ちます」と小脇先生は話します。
一次相続では、親の思いを子どもたちも尊重することが多いため、問題が起こりにくいといえます。しかし、二次相続では両親ともに亡くなっています。「兄弟姉妹が自分の考えを主張し合って、トラブルになりやすいのです」と鈴木先生。
一次相続で配偶者の全額相続は行わない
相続での財産分割は二次相続まで含めて考えます。配偶者には「法定相続分」か「1億6000万円」のどちらか多い金額までの非課税枠があります。「これを一次相続で使うと、二次相続まで含めた子どもの相続税が増えてしまうことがあります」と鈴木先生(下の図参照)。
しかし、一次相続で親の取り分を減らすと、親が不安になることも。小脇先生は「節税よりもみんなが納得できる形が一番です」と話します。
●二次相続まで考えた遺産の分け方
【相続の例】
・相続人:妻・長男・長女
・遺産総額:2億円
・長男と長女は同じ割合で相続し、 妻の相続分が減らずに二次相続が行われた
■A 妻が配偶者の相続税額の軽減の上限1億6,000万円まで相続した場合
■B 法定相続分で分配した場合
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取材・文/松澤ゆかり イラスト/いなばゆみ