定年退職後に要注意「生きがい症候群」をご存知ですか?/老後の不安の9割は無駄

せっかく迎える「第二の人生」、イライラ・クヨクヨしていてはもったいない! 見えない将来に不安ばかり抱き、ひたすら悩みを膨らませているシニア世代のために、より楽にすがすがしく生きていくための心の持ち方を伝授します。

※この記事は『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』(保坂隆/KADOKAWA)からの抜粋です。

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「こうでないとだめ」という考え方はやめる

「生きがい症候群」という言葉をご存じですか。

これは、定年退職すると同時に人生の目標を失ってしまい、生きがいを見つけられないまま不安で抑(よく)うつ的な精神状態が続くものです。

定年を迎える頃には、誰でも大なり小なり老後に不安を感じるものでしょう。

でも、それで精神のバランスを崩してしまっては大変です。

この「生きがい症候群」が進むと、落ち込んでうつ病になったり、孤独感から アルコール依存症になったり、あるいは暴力的になって人間関係のトラブルを起こしたり、深刻な問題を引き起こすケースもあるので注意が必要です。

ただし、そうなるのはほとんどが男性で、女性は陥りにくいようです。

生きがい症候群になる人の多くは、仕事一筋で真面目に働き、働くことが生きがいになっていたタイプとされます。

ところが、定年でなによりの拠(よ)りどころだった肩書きが消え、会社という後ろ盾がなくなると、それまでの反動で自分の無力さを強く感じます。そして、「自分の人生はいったいなんだったのか」とクヨクヨ悩むようになるわけです。

そんな心の溝を埋めようと、急にボランティア活動に参加したり、スポーツや趣味に打ち込んだりするのですが、仕事で目標を持って突き進んできたときのような充実感や満足感が見出せず、あせりだけが募っていきます。

しかも、同年齢の人たちが楽しそうにボランティアをしていたり、地元の自治会の役員として活躍しているのを見ると、自分だけ取り残されているようで自信を失い、自己否定を繰り返し、最悪の場合はうつ病を発症してしまうのです。

しかし、もともと生きがいというのは必死になって見つけるようなものではありませんし、あせって探したからといって見つかるものでもありません。

むしろ問題は、「人間は生きがいを持って生きなければいけない!」という強迫観念にとらわれて、そこから抜け出せないことでしょう。ですから、まずは「こうしなければならない」「こうでなければいけない」という考え方から心を解放することが大切です。

そもそも「こうでなければいけない」という考え方をする人の多くは、他人の評価を基準にしがちです。

これまで十分に頑張ってきた人が、リタイアしてからも「生きがいを持って頑張る人」「一生懸命社会に貢献する人」「人のために尽くすいい人」などという理想像を演じる必要はないでしょう。「立派な人」などという肩書も捨て、もっと自然体で、自分らしく生きればなんの問題もないはずです。

また、「生きがいとは、自分を徹底的に大事にすることから始まる」という故・日野原重明先生の言葉を借りれば、自分を肯定し、愛さなければ、生きがいなど見つかるわけがないということです。

自分と自分の家族、そして愛する人たちを大切に思う気持ちがあれば、それを生きがいにして生きる人生もまた、素晴らしいものに違いありません。

 

保坂 隆(ほさか・たかし)

1952年、山梨県生まれ。聖路加国際病院診療教育アドバイザー、保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大精神神経科教室入局。1990年より2年間、米カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)精神科に留学。東海大学医学部教授、聖路加看護大学臨床教授などを経て、現職。著書多数。

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『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』

(保坂隆/KADOKAWA)

ようやく「第二の人生」を迎えても、先の見えない将来に不安を抱え、イライラ・クヨクヨと悩みばかりを膨らませているシニア世代は多いもの。「何となく」「わけもなく」思い悩むことはもう終わり!これまでのこだわりを捨て、老後の時間を心豊かに過ごしましょう。充実した老後を「楽に」生き抜く秘訣が満載の「シニアのための生きかた読本」です。

この記事は書籍『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』からの抜粋です
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