知っておきたい「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」のメリット&デメリット

いつかは必ず発生してしまう「相続」。家族の死という悲しみの後に、せめてその手続きだけでも円満に進めたいものです。そのためには、みんなが元気なうちから用意しておくことが重要。今回は弁護士の本田桂子先生に、遺言書の「2通りの形式」について解説してもらいました。

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一般的な遺言書の形式は2通り 

「遺言書」の形式について説明しましょう。一般的な遺言書は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2通りです。どちらの形式で作成すればよいのか迷う人もいるでしょう。下のように、それぞれにメリットとデメリットがあります。


●遺言には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2通りがある

「公正証書遺言」

【メリット】
・公証役場で公証人が作成するので形式不備で無効になることがない。
・遺言書の原本を公証役場で保管するので変造や紛失の心配がない。
・検認手続きが不要なので、すぐに相続手続きができる。
・病気などで公証役場に行けなくても自宅や病院で作成できる。

【デメリット】
・公証人や証人に依頼する手間がかかる。
・遺言書作成をする際に、公証役場の費用がかかる。



「自筆証書遺言」

【メリット】
・遺言書の内容を全て自分自身で書くので手軽に作成できる。
・ペンと紙があれば、いつでもどこでも作成でき、費用がかからない。
・遺言書の内容は、書いた本人以外の誰にも知られずに済む。

【デメリット】
・代筆やワープロは不可。自分自身で書くため手間がかかる。
・保管中の変造や盗難、死後に遺族が発見できないなどの恐れがある。
・形式や内容に不備があり、遺言書が無効になることがある。

 
「自筆証書遺言」は自分で書くため手軽ですが、開封には家庭裁判所の検認手続きが必要です。「『公正証書遺言』は、公証役場※で公証人が作成します。費用はかかりますが検認手続きが不要で、すぐに相続手続きができるのがメリットです。これから遺言書を作成するのなら、『公正証書遺言』がおすすめです」と本田先生。下の図のように、遺言書を「公正証書遺言」で残す人が増える傾向が見られます。

※公証役場は公証人が執行する事務所で、全国に約300カ所あります。場所は日本公証人連合会などのホームページで検索可能です

 

●「公正証書遺言」を残す人は年々増加傾向にある
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出典:日本公証人連合会の統計を基に作成

財産管理や相続の希望が「信託」で実現できる

財産を子どもに引き継ぐ方法に「信託」があります。子どもと信託契約を結び財産管理を頼んでおけば、認知症に備えることができ、親の死後は子どもが財産を引き継げます。

また、遺言書では財産を一括で相続させるため、子どもに浪費癖があると散財の恐れがありますが、信託では毎月10万円ずつ渡すことも可能です。信託契約の手続きを弁護士に依頼する場合は、手数料として数十万円程度かかります。

いずれにしても、家族を思いながら準備をし、遺言書は必ず作成することが大切です。

 

2通りの遺言書「メリット&デメリットまとめ」
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次の記事「作成する人は増加傾向!知っておきたい「公正証書遺言」の作り方/相続入門(4)」はこちら。

取材・文/松澤ゆかり イラスト/いなばゆみ

 

 

<教えてくれた人>

本田桂子(ほんだ・けいこ)先生

弁護士。民事信託専門事務所勤務。会計事務所勤務、行政書士を経て弁護士に。相続関連の書籍が多数。近著『親が70過ぎたら必ず備える40のこと』(技術評論社)など。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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