注目のイギリス人ガーデナーによる「ナチュラルガーデン」の魅力

25年前にイギリスから単身日本にやってきたポール・スミザーさんは、以来、第2の故郷となった日本各地を飛び回り、無農薬で庭づくりをしている注目のガーデナー。昔ながらの日本の里山の景色を手本にしている、という彼の庭を、山梨県の八ヶ岳に訪ねました。

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山梨県北杜市。そこに無農薬のガーデナーとして注目されているポール・スミザーさんの庭があります。さっそく訪ねた庭景色からは、植物たちの声が聞こえてきそう。それぞれが自分の命を謳歌し、エネルギーに満ちていることが伝わります。

こんなに自由奔放なのはなぜ?とポール・スミザーさんに尋ねると、

「植物は、自分に合う環境を得さえすれば、たくましく生きていくものだよ。日なたが好きなもの、日陰を好むもの、乾いた場所が得意なものもいる。人と同じように好みも、得意なこともいろいろさ。僕はそれを理解して、生きやすい場所をいいタイミングで差し出すだけ」

と教えてくれました。

「幼いころの遊び場は、故郷イギリスの森でした。花を摘んだり、木に登ったり...。泥んこになって駆けずり回っていたよ。いまは、日本の野山を歩きます。自生している植物を見つけたら、どんな環境で生きているかをよく観察して、庭に、その植物が喜ぶ場所を作るんだ。野山から野草が姿を消しているいま、その命を守り、つないでいかなければ」

1905_p010_02.jpg時間を見つけては野山に分け入り、絶えつつある植物を探すポールさん。その種を少しだけ持ち帰って発芽させるのも同じ思いからでしょうか?

「そう。開発が進んで野山からどんどん失われている。庭という安全な場所で守り続け、いつか野山に戻したいんだ。人が少しだけ手を貸して本来の環境に近づければ、株はまた増えていく」

彼の作り出す景色はそんな地道な作業を何年も繰り返してできたもの。どこか懐かしく感じられるのは、故郷に帰った植物が安心しているからでしょうか。

「植物が元気だと小鳥や虫たちも集まってくる。蝶は花の蜜を吸い、そのとき足に付いた花粉を別の花まで運んでくれるし、小鳥が実を食べれば種をフンと一緒に地面に落とす。そういうサイクルができれば、ますます自然が豊かになる...。庭の生き物は、結局どこかで誰かに助けられ、助けているんだよね。人が1人では生きていけないように」

1905_p013_01.jpgポールさんは「植物は、庭に植物以外の生き物を連れてきてくれる。花は蜜で蝶を誘い、実がなれば、小鳥が啄(ついば)みにやってきて、水辺の植物はトンボを呼ぶ...。みんなが集まるにぎやかな庭が好きなんだ」と言います

 

1905_p012_06.jpg野アザミの甘い蜜を夢中で吸うハチ。

 

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行者ニンニクの花に、ベニカミキリ。

 

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初夏の庭に、もう、赤トンボが飛んできた!

 

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花にしがみ付くセミの抜け殻も愛らしい。

 

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南方から渡ってくるアサギマダラ。


 


萌木の村 ナチュラルガーデン
紹介している景色は、一般公開されているポールさんの庭の一つ。春夏秋冬の景色を楽しめます。

住:山梨県北杜市高根町清里3545
電:0551-48-3522
時:10:00~18:00(5~11月)
  10:00~17:00(12~4月)
休:なし
料:入場無料


 

次の記事「イギリス人ガーデナーが語る「生き方を教えてくれる6つの植物」(2)」はこちら。

取材・文/飯田充代 撮影/木下大造

 

ポール・スミザー(ぽーる・すみざー)さん

1970年、イギリス・バークシャー州生まれ。ランドスケープデザイナーであり園芸家。英国王立園芸協会ウィズリーガーデン、米国ロングウッドガーデンズで学ぶ。現在は山梨県・八ヶ岳を拠点に活動中。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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