在宅介護で利用できるサービスを上手に使って、介護者の負担を減らすには?/在宅介護

介護が必要になったとき、自宅に住み続けながら介護を受けることを「在宅介護」といいます。内閣府の調査によると、在宅介護を望む人は男女とも7割を超えています。今後、親や家族、配偶者、そして自分の介護などに、直面することもあるでしょう。在宅介護を行う上で、どのように介護保険を使ったらいいのか、ケアマネジャーとの関係や家族の関わり方などについて、現役の主任ケアマネジャーである田中克典さんに聞きました。

pixta_27489268_S.jpg前の記事「「自宅」で介護サービスを受けるとき、収入によって1~3割の自己負担が発生/在宅介護(4)」はこちら。

 

●訪問介護には「身体介護」と「生活援助」がある

在宅介護でよく利用されているのは、ホームヘルパーに家に来てもらって介護を受ける「訪問介護(ホームヘルプ)」です。訪問介護には主に「身体介護」と「生活援助」の2つがあり、要支援1から要介護5の人が利用できます。
・身体介護...食事・入浴・排泄の介助、衣類の着脱の介助、服薬の確認など。
・生活援助...掃除、洗濯、買い物、食事の準備、調理、薬の受け取りなど。

<訪問介護の利用者負担の目安(1割負担で要介護1から5の人の場合)>
  ・身体介護中心...20分~30分未満:248円、30分~1時間未満:394円
  ・生活援助中心...20分~45分未満:181円、45分以上:223円
  ・通院等乗降介助(1回):98円

生活援助は介護を受ける人を援助するサービスなので、「本人以外のためにすること」「日常生活上の家事の範囲を超えること」などは頼むことができません。例えばペットの世話、草むしり、留守番、家具の移動や修繕、部屋の模様替え、大掃除などは対象外となります。

 
●訪問介護の「生活援助」は同居家族がいても利用できることがある

「生活援助」を利用できるのは一人暮らしの人か、同居の家族がいても障害や疾病のために家事ができない場合です。障害や疾病を持たない同居の配偶者や家族がいると、朝、昼、夕の食事の支度などはその配偶者や家族が行うことが前提となり、基本的に生活援助は利用できません。例えば夫婦2人暮らしの妻が要介護3で家事ができなくなったとき、「夫は料理ができないから、生活援助でホームヘルパーに来てもらって食事の支度を頼みたい」と考えても、夫が障害や疾病を持たないときには利用できず、夫が要介護または要支援の認定を受けていれば利用できます。

「ただし、同居の家族がいるというだけで、一律に生活援助が利用できないわけではありません。『家族が高齢で筋力が低下していて行うのが難しい家事がある』『家族が介護疲れで共倒れなどの恐れがある』『家族が仕事のために不在で日常生活に支障がある』というようなときには、事情を考慮して利用できることがあります。とくに、食べることに関しては命にかかわるので、同居の家族が日中、仕事などで不在の『日中独居』のケースなどは、調理や買い物に関してかなり柔軟な対応をしてもらえることが多いです」と田中さん。

 
●在宅介護で頼りになる「デイサービス」。その選び方とは?

デイサービス(通所介護)は在宅介護をするときに頼りになる介護サービスです。要支援1から要介護5の人が利用できます。送迎バスなどで通所介護施設に行き、入浴などの日常生活の介護や機能訓練などを受けたり、レクリエーションに参加します。利用時間は9時から16時のところが多いです。午前中だけ、あるいは午後だけなどの半日利用ができる場合もあります。

「デイサービスは場所によって雰囲気も内容も異なります。利用者のニーズに合わせて対応しているところが増えているのが最近の特徴です。事前に家族と本人とで見学に行って比較しながら、自分に合ったところを選ぶのが長く通えるコツです。家族が一日中、家で介護をしていると精神的にも負担になるので、デイサービスを利用すると家族もリフレッシュできます」と田中さん。

 
●在宅介護で利用できるその他の介護サービス

ほかにも在宅介護で利用できる以下のような介護保険の介護サービスがあります。要介護1から5の人が利用できます。

・訪問入浴介護...寝たきりの人などが自宅に持ち込まれた簡易浴槽で入浴の介助を受けます。

・訪問看護...医師の指示により看護師などが自宅に来て、床ずれなどの手当てや点滴の管理などを行います。

・訪問リハビリテーション...理学療法士などのリハビリの専門家が自宅に来て、リハビリを行います。

・居宅療養管理指導...通院が困難な利用者のために、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士などが自宅に来て、療養上の管理・指導を行います。例えば医師や歯科医師は、診断に基づく継続的な健康管理や指導、処方された薬の服用方法や副作用についての指導、使用している医療器具の管理、ケアプランに必要な医療情報の提供などを行います。

・通所リハビリテーション(デイケア)...介護老人保健施設(老健)や病院・診療所に行き、日帰りで機能訓練などを受けます。

・ショートステイ(短期入所生活介護)...特別養護老人ホームなどに短期間入所し日常生活の介助などを受けます。

 
●要支援の人も介護サービスを利用できる

要支援1・2の人は「介護予防サービス」「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象となり、地域包括支援センターのケアマネジャーがケアプランを作成します。「介護予防サービス」には予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション(デイケア)、介護予防短期入所生活介護などがあり、サービス内容は上記の要介護1から5までの人を対象とした介護サービスと同じです。「介護予防・日常生活支援総合事業」には運動教室や管理栄養士による自宅訪問などの自治体独自のサービスがあり、内容や利用者負担額は市区町村によって異なります。

 

取材・文/松澤ゆかり

 

 

田中克典(たなか・かつのり)さん

1962年、埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、東京都清瀬療護園、清瀬市障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年に介護保険制度発足と同時にケアマネジャーの実務に就く。現在、SOMPOケア株式会社で主任ケアマネジャーとして勤務。著書に『現役ケアマネジャーが教える介護保険のかしこい使い方』(雲母書房)ある。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP