介護が始まっても仕事を辞めないで! 介護休暇・介護休業をうまく使いましょう。介護休業給付が支払われる場合も

ご両親が元気なうちは、「介護なんて当分先のこと」と他人ごとのようにお考えの方も多いでしょう。しかし介護は突然やってきます。想定もしなかった事態に戸惑い、余計な負担まで背負い込んだ結果、心身の健康を害してしまうこともあるのです。突然の事態に動揺しないためにも、いまから準備をしておくことが大切です。

そこでうまく乗り切るための心構え、準備しておくべきこと、介護サービスを受ける方法、介護サービスの仕組み・精神面・金銭面のアドバイス、予防などについて、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。

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介護で離職せずに、介護休暇・介護休業を活用しましょう

両親や配偶者に介護が必要になり、同僚に迷惑をかけられないからと、退職しようと考えている人はいませんか? 介護離職者は年間10万人に及んでいます(平成29年就業構造基本調査。総務省統計局)が、介護は終わりがみえません。介護が終わった後からの再就職は困難ですし、介護費用が底をついてしまうケースもあります。このようなことを増やさないために、国が定めている「介護休暇」「介護休業」というものがありますので、うまく活用しながら介護しましょう。

 
介護休暇・介護休業の違いとは?

「介護休業」とは、要介護状態(※1)にある家族(※2)を介護するために取得できる休業で、ある程度まとまった期間の取得が可能です。対象家族1人につき3回を上限に介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者(※3)も対象となります)、期間は通算93日までとなっています。例えば、1回は30日取得して職場に復帰し、しばらくしたら残りの63日を2回に分割して利用できます。

「介護休暇」とは、要介護状態※1にある対象家族※2の介護、その他の世話(買い物、通院の付き添いなど)を行うために取得できる休暇です。1年に最大5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで可能)取得でき、半日単位や単発で取得することが可能です。有給休暇とは別の休暇と定められています。その他、介護休業とは別に、介護のための労働時間短縮(残業免除)が利用できます。

介護休業・介護休暇の対象とならない場合があるので以下に注意しましょう。
※介護休業や介護休暇を取得できる方は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。日々雇用される方は対象になりません。下記の一定範囲の労働者の方は、会社と、労働組合もしくは労働者の代表の間で「労使協定」が締結されている場合は、対象となりません。会社の規定を確認してください。
介護休業は、入社1年未満の方、93日以内に雇用関係が終了する方、週の所定労働日数が2日以下の方。介護休暇は、入社6カ月未満の方、週の所定労働日数が2日以下の方。また、個人事業主や主婦は労働者ではないので対象になりません 。

(用語解説)
※1.要介護状態:負傷、疾病または、身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態をいいます。
※2.対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母または労働者が同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫をいいます。
※3.一定の範囲の期間雇用者:申出時点において、次の I)II)のいずれにも該当する労働者です。I) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
II) 介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて、引き続き雇用されることが見込まれること(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである場合を除く)

 

介護中の給料はどうなるのでしょうか?

家族の介護のために仕事を休むので、もちろんその間は基本的には給料は支払われませんが、介護にお金がかかるので、不安になるのは当然。このような状況の救済策として、雇用保険から介護休業給付が支給される制度があります。これは一定条件を満たすことで、支給を受けることができます。

介護休業給付金は1回の介護休業につき、介護休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間(その1カ月の間に介護休業終了日を含む場合はその介護休業終了日まで)の支給額を計算し、支給されます。介護休業を分割して取得している場合は、支給も分割になります。また、1回の介護休業期間は最長3カ月なので、介護休業給付金の支給対象は1回につき最大3支給単位期間となります。

各支給対象期間の支給額は原則「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」です。支給を希望する場合は、事業主が所轄公共職業安定所(以下:ハローワーク)に、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」および「介護休業給付金支給申請書」を提出する必要があります。
介護休業給付についての詳細はハローワークインターネットサービスより、介護休業給付についての項目、または「介護休業給付の内容及び支給申請手続について(平成29年1月1日以降に介護休業を取得する方)」のPDF資料を参照してください。

 

介護は多少手を抜くことを考えましょう

在宅介護の場合、どうしても仕事をしながらの介護は困難といえます。そこで、多少手を抜くことを考えましょう。そうしなければ、自分自身を苦しめてしまうことになりかねません。例えば、ショートステイ2週間、1週間は介護休暇を利用して在宅介護というように、ショートステイといったデイサービスやホームヘルパーなどをうまく利用して乗り切りましょう。

 

次の記事「要介護にならないために。「社会との交流」「食事」「運動」が介護予防の3か条!(9)」はこちら。

取材・文/中沢文子

 

結城康博(ゆうき・やすひろ)先生

1969年生まれ。淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)、経済学修士、政治学博士。社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士の有資格者。地方自治体に勤務、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護部署などの業務に従事。テレビ、新聞、雑誌など多岐にわたり活動中。新刊『突然はじまる! 親の介護でパニックになる前に読む本』(講談社)など著書多数。

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