日々の暮らしにおける「支出をコンパクト」にするため、きっと多くの人が毎日できる節約をしていると思います。ただ「毎日」という視点ではなく、「老後」や「自分が去った後」のことについてはどのくらいコンパクトにできているでしょうか。
子どもに負の遺産を残すことのないように生活のムダを減らす方法を、ファイナンシャル・プランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
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前の記事「家は売却、クルマは手放す...暮らしをコンパクトにしていきませんか?(1)」はこちら。
住んでいる一戸建てを売り駅近マンションを購入する
暮らしをコンパクトにする方法の一つに、住宅の住み替えがあります。家族が多いときには十分な広さだった一戸建ても、年齢を重ねるごとに2階への上り下りがおっくうになったり、掃除が大変になったりなど、持て余し気味になっている人も多いのではないでしょうか。例えば、30年くらい前に購入した一戸建てとなると、駅から離れていて、いまとなってはスーパーや病院に行くのも大変というケースもあります。
「それならいっそ売却し、そのお金で駅近の2LDKの中古マンションへの住み替えを検討してみてはどうでしょうか。中古なら価格も低めですし、間取りを変えたりバリアフリーにしたり、壁紙を替えるなどのリフォームも可能です。壁紙や床の張りえであれば100万円程度でできます」と丸山さん。
購入する際には、預貯金を取り崩したり、退職金を当てにすることはやめましょう。家の売却価格より安いのが前提で、7割ぐらいの物件が目安です。「7割程度で買えれば、残りの3割をリフォームや維持管理費などに使えます」(丸山さん)
一戸建てから2LDKのマンションに住み替えるとなると、当然荷物を処分する必要も出てきます。この引っ越しがきっかけで、荷物を整理できれば一石二鳥です。子どもたちに迷惑をかけないための、いい機会になりそうです。
荷物を整理して出た古着などはポリオワクチンに換えて
開発途上国の子どもに届ける
古着などは古着ボックスを購入して指定の場所に送れば、ポリオワクチンに換えて、開発途上国の子どもたちにポリオワクチンとして届けることができます。
《一戸建ての売却価格の7割のマンションを購入する一例》
現在住んでいる一戸建て住宅を3,000万円で売却する
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駅近の中古マンションを2,100万円で購入する
(7割ぐらいの物件を購入する)
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差額の900万円をリフォーム費用や維持管理費などに充てる
中古物件を買う際、また売る際には仲介手数料がかかります。また、2019年10月には、消費税増税が予定されているので、もしそれ以降に売買を予定している場合は、消費税が2%アップすることを頭に入れておいてください。
冷蔵庫などの家電製品は買い替え時に小型化する
マンションに引っ越すことになったら、検討したいのが家電製品の小型化です。もちろん、現在利用しているものが使えるのであれば、そのまま使うにこしたことはありません。「ただ、マンションによっては、大型の冷蔵庫などが入らない場合があります。あらかじめ、台所の入り口のドアに冷蔵庫の横幅が通るかどうか確認してください」と丸山さん。
引っ越しや故障などのタイミングで買い替えるときには、2人あるいは1人暮らしでも十分な小型の家電製品を選ぶといいでしょう。また、大きな冷蔵庫より小さな冷蔵庫の方が安く買うことができますし、年間の電気代もお得になります。洗濯機に至っては、電気代だけではなく水道代も節約できるので、家計も助かるはずです。
2人あるいは1人暮らしの場合、野菜や肉などが食べ切れずに腐ってしまったり、賞味期限を過ぎて捨ててしまう経験されている人もいるでしょう。冷蔵庫を小型化すれば、当然いままでより入る量が少なくなるので、食材を買い控えることによって食品の無駄が防げるというプラスアルファの効果も期待できるのではないでしょうか。
ちなみに、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品について、国税庁が発表している耐用年数は6年です。
《買い替えるときに家電製品を小型化した際の節約の一例》
●洗濯機の場合
大きな縦型洗濯機(10㎏)⇒ 小さな縦型洗濯機(7㎏)⇒ 2万3,500円のお得
価格10万1,700円 価格7万8,200円 ・年間の節電額 約986円
・年間の節水額 約1,564円
節電額と節水額は、メーカーが表示している消費電力と標準使用量で比較し、1日1回使用した場合で算出したデータを用いています。
●冷蔵庫の場合
大きな冷蔵庫(500ℓ)⇒ 小さな冷蔵庫(315ℓ)⇒ 16万1,400円のお得
価格25万4,000円 価格9万2,600円 ・年間の節電額 2,000円
節電額は、省エネ製品への買い換えによる電気代削減効果を簡単に比較できるサイト、省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」のデータを使用しています。
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取材・文/金野和子 イラスト/坂木浩子