日々の暮らしにおける「支出をコンパクト」にするため、きっと多くの人が毎日できる節約をしていると思います。ただ「毎日」という視点ではなく、「老後」や「自分が去った後」のことについてはどのくらいコンパクトにできているでしょうか。
子どもに負の遺産を残すことのないように生活のムダを減らす方法を、ファイナンシャル・プランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
前の記事「戸建てから駅近マンションへ住み替えて暮らしをコンパクトに。家電も小型化して(2)」はこちら。
運転免許証は返納し特典を受ける
駅近のマンションに住めば、車に乗る機会も少なくなるはず。これを機に、車を手放し運転免許証を返納するのもいいでしょう。前進するつもりがバックしてスーパーや病院に突っ込んだなどというニュースを見て、親のことを心配している子どもが、親が免許証を返納したと聞いたら、安心するはず。返納すると、特典を受けることができる自治体もあります。
◆東京都の場合の特典の一例
特典は1回限定のところ、また永続的に受けられるところなど、特典を提供している企業によって異なります。基本的に特典は全て利用できます。特典は警視庁のホームページより抜粋しています(2018 年9 月3 日現在)。
●日本通運株式会社首都圏支店
引越の通常料金の10%割引
●巣鴨信用金庫
運転経歴証明書所有者専用定期預金「サポート」
スーパー定期預金の金利優遇:店頭金利+ 0.05%(1人合計500 万円まで)
自動継続1 年(継続後は店頭表示利率になる)
●帝国ホテル東京
帝国ホテル直営レストラン・バー 、ラウンジにて10%割引
●丸正チェーン加盟店
優待クーポン券の発行
●髙島屋
自宅への配送無料(日本橋店、新宿店、玉川店、立川店、65 歳以上限定)
●ビックカメラ(池袋本店・池袋西口店・有楽町店・新 宿西口店・ビックロ・渋谷東口店・立川店・JR 八王子 駅店・赤坂見附駅店)
メガネ・補聴器購入時10%割引
中元や歳暮はやめる?人間関係を見直すチャンス
「人とのお付き合いもコンパクトにしてはどうでしょうか」と丸山さんは提案します。例えば、娘の嫁ぎ先の親に連絡して、中元や歳暮はお互いにやめませんかと持ち掛け、あとは、旅行に行ったときなどにお土産を買う程度にしたというケースもあります。夏の暑い時、暮れの忙しい時に百貨店に行き、贈り物を買うのは大変です。娘の嫁ぎ先に限らず、習慣で送っている人への贈り物を見直してみてはいかがでしょうか。
結婚式なども同様です。もし、声をかけられた場合、お祝いは送るようにして、出席自体は見合わせるという選択肢もあります。これできものなど衣装の用意の手間、交通費や美容院の費用などが節約できます。人によっては、年賀状を送ることをやめている人もいます。
もちろん、全ての付き合いをやめるわけではありません。仲の良い親族や知人との付き合いは、従来どおりのままです。この辺で、義理でつながっている人間関係を見直してみては、ということです。「節約という点では、格安スマホに変更するのもありです。近所に機械に詳しい子どもがいれば、手続きなどは教えてもらいながらできるでしょう。月7000~8000円の携帯代が2000円程度になります」と丸山さん。格安スマホで、年賀状の代わりに年始のあいさつを声で届けるのもいいかもしれません。
取材・文/金野和子 イラスト/坂木浩子