賃貸マンションの家賃の値上げ。応じない場合はどうなる?/法律・税金で悩んだらプロに相談

pixta_32430557_S.jpg借りているマンションの賃料の値上げについての相談です。貸主から一方的に値上げを伝えられ、それに応じなかった場合、すぐに家を追い出されることはありませんが、調停の手続きが必要になることもあります。弁護士の林 友宏先生に伺いました。

◇◇◇

 
【相談】
現在、賃貸マンションに住んでいますが、先月、大家さんから「不動産価格が上昇しているので、2カ月後から賃料を上げる」と一方的に言われました。
これまでの賃料の金額は適正だと考えているのですが、大家さんの要求に応じなかった場合、明け渡しを求められることになるのでしょうか。(女性65歳)

 

 

林先生の【お答え】
明け渡しを求められることはありませんが、調停や裁判の結果によっては賃料が値上げされる場合があります。


まず、賃貸人(大家さん)と賃借人(ご相談者)との間の賃貸借契約は、両者の合意に基づくものであり、賃貸人が賃料の値上げをしたいのであれば、賃借人と協議を行い、その了承を得て、賃料の変更をするのが原則です。

ただ、賃料の値上げをしたい賃貸人と、これまでの賃料を維持したい賃借人との間では、協議による解決が難しい場合があります。このような場合、値上げしたい賃貸人は、裁判所に対して、賃料の増額を求めることになります。この手続きは、「調停」と呼ばれており、賃貸人と賃借人は、調停の手続きにおいて、それぞれの言い分を述べ、話し合いによる解決を目指します。

ただ、調停はあくまでも話し合いによる解決を目的とする手続きなので、調停を行っても賃料について合意に至らないことがあります。この場合、調停は不成立となり、賃貸人が、なお賃料の値上げをしたいと考えているのであれば、賃貸人は、賃借人を相手方(被告)として、訴訟を提起する(裁判をする)ことになります。訴訟においては、賃料について裁判所による最終的な判断(判決)がなされることになるため、ここで、賃料が最終的に決定されます。

次に、調停や訴訟などにおいて最終的に決定された賃料が適用される時期については、賃貸人から最初に賃料の値上げの要求がなされたときとされています。ただ、賃借人は、賃料の値上げを要求された時点においては、最終的に決定される賃料が分かりません。そこで、賃借人としては、賃料の値上げ要求がなされた後は、自身が相当と認める金額を支払えば足りるものとされています。

そして、最終的に決定された賃料と実際の支払額との間に差額が生じている場合には、賃料が決定した後にその差額分を調整することになります。

以上を踏まえて、今回のご相談について見てみると、仮にあなたが賃料の値上げの要求に応じなくても、賃貸借契約を終了させる理由に該当しないため、賃貸人から明け渡しを求められることはありません。

そして、これまでの賃料の金額が適正だと考えているということであれば、引き続き、現在の賃料を支払えば足ります。もっとも、事後的に調停や訴訟において、賃料が値上げされる可能性がありますし、賃貸借契約は長期間にわたる契約であり、賃貸人との信頼関係の維持も必要だと思いますので、ひとまず、賃貸人との間で話し合いの機会を設けてみてはいかがでしょうか。

※「法律・税金で悩んだらプロに相談」そのほかの回はこちら。


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弁護士

林 友宏(はやし・ともひろ)先生

弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所東京事務所所属。企業法務をはじめ、個人から依頼を受けて相続、交通事故、離婚、刑事事件など幅広い案件を担当している。

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この記事は『毎日が発見』2018年9月号に掲載の情報です。

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