相続税がゼロの場合、税務署への申告はどうしたらいい?/法律・税金で悩んだらプロに相談

pixta_11490391_S.jpg相続税はどのように計算したらいいのでしょうか。実は、相続税がない場合でも税務署への申告の必要が生じる場合もあります。「計算がおっくう」と感じる人も多いと思いますが、1度計算してみると、安心です。税理士の坂本 剛先生に伺いました。

 
【相談】
うちは自宅の他には財産はそれほどありません。税額を計算してみて、相続税がゼロの場合は税務署への申告はしなくてもいいですか? (女性65歳)

 

林先生の【お答え】
基本的に申告は不要ですが、「特例」の適用を受けるためには申告が必要になります。

相続税がゼロでも申告しなければならない場合があります。
相続税の計算では、相続財産から基礎控除額(下記)を差し引いた金額に対して、相続税率をかけて相続税額を算出します。基本的に相続財産の総額が基礎控除額以下の場合は、金額がゼロ以下になるので相続税を支払う必要はありませんし、相続税の税務申告を行わなくても構いません。

【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
※法定相続人は、配偶者、子、孫、親、兄弟の順で優先されます。例えば、故人に配偶者と子どもが2人いる場合、法定相続人は3人です。この場合、孫や親、兄弟は法定相続人とはなりません。

ただし例外的に、相続税がゼロでも相続税申告を行わなければならない場合があります。それは「配偶者の税額軽減の特例」と「小規模宅地等の評価減の特例」を受ける場合です。この二つの特例を使うと、相続税額が大幅に減額されるのですが、申告をしなければ適用されない(脱税になる可能性がある)ので注意が必要です。

「配偶者の税額軽減の特例」は、配偶者(夫が亡くなった場合は妻)が財産を相続する場合は「1億6000万円」か「法定相続分」のどちらか高い金額までは相続税はかからないというものです。

法定相続分とは民法で定められた「相続する人の財産の取り分」のことで、夫が亡くなった場合、通常は妻が受け取ることができる法定相続分は相続財産の2分の1です。

一般的な家庭の場合、財産が1億6000万円を超えるケースは少ないでしょうから、「配偶者の税額軽減の特例」を使えば、配偶者に相続税がかかることはまずないでしょう。
「小規模宅地等の評価減の特例」は、相続財産の中に自宅や事業などに使われている宅地がある場合に、その宅地の評価額の一定割合を減額することができるというものです。

この特例は複数のパターンがありますが、例えばその中の一つに、亡くなった方が自宅として使用していた土地については80%減額できるというものがあります。自宅の他、事業用宅地や、不動産を賃貸しているケースでも条件を満たせば受けられるので、相続税対策で検討される場合がよくあります。この特例も、受けるためには相続税がゼロでも相続税申告を行わなくてはなりません。

 

※「法律・税金で悩んだらプロに相談」そのほかの回はこちら。


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税理士

坂本 剛(さかもと・つよし)先生

坂本会計事務所代表。個人・企業の税務相談に応じる傍ら、講演活動も多数行っている。著書は『知識ゼロから決算書が30分でわかる本』(角川新書)他。

この記事は『毎日が発見』2018年8月号に掲載の情報です。
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