「信じているもの」はありますか?50代哲学者が伝えたい「人生100年時代の心の支え」

定年退職の後や年金受給の時期など、考えなければならないことが山ほどある「老後の暮らし」。哲学者・小川仁志さんは、これから訪れる「人生100年の時代」を楽しむには「時代に合わせて自分を変える必要がある」と言います。そんな小川さんの著書『人生100年時代の覚悟の決め方』(方丈社)から、老後を楽しく生きるためのヒントをご紹介。そろそろ「自分らしく生きること」について考えてみませんか?

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自分の心の支えになる「なにか」を持つ

これまでビジネスパーソンの自己啓発といえば、MBA(経営学修士)が定番でした。

キャリアアップするために何を学ぶかといえば、やはりファイナンスやマーケティングといったより実践的なビジネススキルを選ぶでしょう。

その最高峰がMBAだったわけです。

特に近年は国内で日本語で学べるMBAや、オンラインでしかも科目ごとに履修できるようなMBAも出てきて、よりお手軽になっていますから。

しかしこれもまた、従来の人生モデルにおいてはそれが最適だったというだけです。

まずMBAはビジネスに特化しています。

そしてキャリアアップを目的にしています。

言い換えると、一生ビジネスを続けること、そして上を目指していくというキャリアパスが前提になっているのです。

人生100年時代には、色んなことが起こります。

仕事もいくつか違うことをやる可能性だってあります。

ビジネスパーソンが公務員になったり、その後突然教師になったりと。

まさに私がそうなのですが。

今は珍しくても、おそらくそういう人は増えてくるはずです。

そうすると、単純にビジネスエリートとしてお金を稼ぐために生きるというのが唯一の生き方ではなく、何をしていたとしても、心の充足を得られる人間として生きることが求められてくるように思うのです。

だから私は、人生100年時代の自己啓発は宗教型がいいと思っています。

テクニックよりも、心の充足を最優先するべきだと思うのです。

MBAはテクニックの典型で、それさえあれば生きていけるというような印象でしたが、これからは違います。

求められるテクニックはどんどん変わっていきますから。

せっかく覚えたソフトも、使いこなせるようになった頃には新しいものが出てくるというように。

それでも心が折れることなく、どんどん前向きに時代に対応していけるだけのマインドこそを鍛えておく必要があるわけです。

あるいは、悲しいこと苦しいこともたくさん経験することになるでしょう。

人生が長くなるということは、いいことも悪いことも数多く経験することを意味します。

そんなとき自分を支えてくれる何かをしっかりと身に付けておかねばなりません。

だから宗教型なのです。

今世界的に宗教が力を盛り返す「再魔術化」と呼ばれる現象が起こっていますが、まさに時代が宗教を求めているのかもしれませんね。

でも、日本ではキリスト教やイスラームのように宗教的生活を送るという習慣がないので、それは必ずしも宗教である必要はありません。

あくまで比喩です。

たとえば、尊敬できる人の言葉でもいいですし、哲学でもいいでしょう。

私の知人の中には、剣道が自分にとっての心の支えだという人もいます。

たしかに武道は「道」ですから、十分心の支えになり得ると思います。

要は自分の心を支えるだけの何かがあればいいのです。

これまではそんなものなくてもよかったかもしれませんが、これからの命長き時代はわかりません。

備えあれば憂いなしだと思うのです。

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117-H1.jpg哲学者が語る20の人生訓や新時代への考え方など、人生を豊かにしてくれる言葉が全5章にわたってつづられています

 

小川仁志(おがわ・ひとし)
1970年京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。大学で新しいグローバル教育を牽引するかたわら、「哲学カフェ」を主宰する。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」に指南役として出演。最近はビジネス向けの哲学研修も多く手掛けている。

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『人生100年時代の覚悟の決め方』

(小川仁志/方丈社)

現在40歳の人の平均余命は残り44年。人生もう1回分あるのが今の時代です。これまでの価値観や方法は通用しないかもしれません。時代の変化に合わせて、自分を変えて、老後や余生を自然体で生きれるように。これからの人生を準備するための一冊です。

※この記事は『人生100年時代の覚悟の決め方』(小川仁志/方丈社)からの抜粋です。

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