せっかく迎える「第二の人生」、イライラ・クヨクヨしていてはもったいない! 見えない将来に不安ばかり抱き、ひたすら悩みを膨らませているシニア世代のために、より楽にすがすがしく生きていくための心の持ち方を伝授します。
※この記事は『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』(保坂隆/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「最近すぐに疲れる・・・そんな自分を許せますか?/老後の不安の9割は無駄(4)」はこちら。
当たり前のことを「面白がる」
どんな人でも、歳をとってだんだん体が弱ってきたり、物忘れをしたり、肌の艶がなくなったりするのは嫌なものです。
「白髪なんてもう気にしていないから」
「自然には逆らえないもの、仕方ない」
などと話していても、内心ではあきらめきれずにイライラ、クヨクヨ......。ため息をついている人がほとんどではないでしょうか。
ところが、一歩先に歳を重ねた先輩の中には、人生の達人と呼びたいような生き方の人もいます。
そういう人に共通しているのは、どんな場面でもそのときの状況を楽しんでいること。言い換えれば、どんなときも人生を面白がっていることでしょう。
作家の佐藤愛子さんは、2016年、92歳でエッセイ集『九十歳。何がめでたい』(小学館)を書き上げ、世代を超えた共感を集めました。いまも若い頃と同じようなテンションで怒ったり、笑ったり、どなったりするそうで、少しも老いを感じさせていません。
はたから見れば何でもないような出来事を、軽妙なタッチで文章にするところもさすがです。
「初めての体験は、とりあえず楽しんでみる」と考えて、当たり前のことを「面白がる」癖をつければ、日々の生活にもさまざまな発見があるかもしれません。
こうした先輩方の生き方を見るにつけ、日常のひとコマひとコマに注がれる好奇心こそが老けない心の秘密なのかも......と感じさせられます。
「おもしろきこともなき世をおもしろく」 というのは、幕末のリーダー高杉晋作の辞世の句ですが、どんな世の中であろうと、心ひとつで楽しいことはきっと見つけられるでしょう。
「つまらない」という前に「何か面白いことはないかな?」と好奇心を働かせるのが、脳にとってもいい刺激になるのです。