瀬戸内寂聴さん 96歳になったいま、伝えたい「愛のことば」

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90歳代半ばを迎えて、ますます意欲的に活動をしている瀬戸内寂聴さん。数々の著書から名言をまとめた本『愛することばあなたへ』(光文社刊)が話題です。この本に込めた思いを、瀬戸内さんが語ってくれました。

◇◇◇

 
『思いやり』から愛が生まれます

お釈迦(しゃか)さまは『この世は苦だ』とおっしゃいました。苦しむために人はこの世に生れるのでしょうか。

人間の生きる苦しみは四苦八苦と呼ばれます。人間は苦しむためにだけ、この世に生まれてきたのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。この世で苦しみにあう度、人間の心はきたえられ、ねられ、強くなります。自分が苦しんだことによって他者の苦しみが想像できます。自分が辛かったことをかえりみて、他者の苦しみを少しでもやわらげてあげたいと思います。

これが『思いやり』で『思いやり』こそが愛なのです。

 

寂聴さんが贈る"愛のことば"

人間は誰かを愛するために生きています。
しかし、誰かを愛した瞬間から苦しみが生れます。だからといって、
苦しいから愛さないというのは間違いです。

 

夫婦の形は千差万別。あなたが理解できない夫婦の愛もあるのです。

 
よく人は「がんばれ、がんばれ」と、言いますけれど、がんばるということは、
どこかで無理をすることで、病気になったり、神経が切れたりします。
これからはあんまりがんばらないで、もっとゆったり生きましょう
私もがんばり屋で、ずうっとがんばってきたから、
がんばり屋の気持ちがよくわかります。

 

人は何のために生まれてくるのでしょうか。
一人ひとりが自分のひとつしかない生命を大切にして、
自分が幸せになるように生まれてきたのです。
そして、幸せになりたければ、
幸せになろうと自分で努力をすることです。

 

どんな人でも、全部悪いという人はいません。
どんな嫌いな人でも、何もかも嫌いってことはないと思うんです。
よく見たらどこかにその人のいいところがあります。
その人のいいところに目をつけて、いいところを好きになりましょう。
それが人を憎まないいちばんいい方法だと思います。

 

幸せは外から与えられるのを待っていてはいけませんね。
自分で自分を楽しませたり、よろこばせたりしなくては。
いつまで余生が続くかわかりませんが、
とにかく自分の好きなことを自由にやって、自分を楽しませたいと思います

 

あなたが元気に生きて行くことこそが、亡くなった方への最高の供養です。

 

撮影/篠山紀信


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瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さん

1922年徳島県生まれ。1957年、「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞。1973年に平泉中尊寺で得度、法名寂聴となる。1992年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。1998年『源氏物語』現代語訳を完訳。2006年文化勲章受章。


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『愛することばあなたへ』

光文社 920円+税
「愛」を巡る瀬戸内さんの数々の言葉を基に、自ら加筆・構成した一冊。テーマは「男と女」「くるしみ」「しあわせ」「わかれ」「さびしさ」「いのり」の6章。

この記事は『毎日が発見』2018年9月号に掲載の情報です。

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