日本人の一生涯にかかる医療費は2700万円程度といわれています(厚生労働省調べ)。そしてこの生涯医療費の50%は、なんと70歳以降にかかってくるということをご存知でしたか?
生涯医療費を少しでも減らすために、病気は早いうちにみつけるのが一番です。医療費の負担を賢く節約する方法をファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんに伺いました。
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自治体などでインフルエンザの予防接種の補助金を確認しましょう
医療費の負担を軽くするために、予防接種の補助金も確認しておきましょう。例えば、インフルエンザの予防接種の費用は、健康保険の適用外なので自己負担となります。神奈川県横浜市の2017年度の案内を見ると、65歳以上の人などは2300円で受けることができます。また、本人を含む世帯全員が市民税非課税の場合は無料となっています。企業の健康保険組合でも補助金の仕組みをとっているところがあります。自治体や勤務先などで確認が必要です。
前立腺がんの粒子線治療が健康保険の対象になりました
前立腺がんの粒子線治療が健康保険の対象になったことなど、医療費の負担を軽くするためには、さまざまな関連する情報に敏感になることが大切です。他にも、会社を退職してすぐに再就職しないときには、三つの健康保険の入り方があります。
一つ目が家族の扶養に入ること、二つ目が在職中に加入していた健康保険の任意継続被保険者になること、そして最後が国民健康保険に入ることです。自分で健康保険に加入するときには、任意継続被保険者になった場合と国民健康保険に加入した場合の2年分の保険料を比較してから選択しましょう。
医療費はクレジットカードで払うとお得です
最近は病院などによっては、医療費をクレジットカードで払えます。高額な医療費を現金で払うには事前に用意する必要がありますし、近くにコンビニATMしかない場合は手数料がかかることもあります。クレジットカードなら、ポイントがつくので少しですが得になります。
【知っておきたい役立つ情報】
●インフルエンザ予防接種の補助金を確認
勤務先の健康保険組合や自治体などでは、インフルエンザ予防接種の助成金を利用できる場合があります。自治体によっては、中学生以下や65歳以上の人の予防接種の費用が無料となったり、勤務先によってはパートの人も補助金が利用できる場合があります。
●前立腺がんの粒子線治療が健康保険の対象に
がん治療の三大療法である「手術」「放射線」「抗がん剤」は健康保険が適用されます。保険診療との併用が認められていますが、保険適用外となっていた最先端の治療「先進医療」の粒子線治療で、前立腺がんの保険適用が2018年4月に開始されました。
●加入している保険の電話健康相談サービスを利用
保険商品の中には、商品付帯サービスとして医療の専門スタッフがサポートする「健康医療相談サービス」を無料で利用できる場合があります。例えば、24時間年中無休の電話健康相談サービスや、セカンドオピニオンサービス、介護・認知症サポートサービスなどです。
●病院の時間外や深夜などの割り増しになる時間の受信は避ける
意外と知らないのが、医療機関が表示する時間外に受診すると、原則、通常の料金以外に時間外の割り増し料金がかかることです。薬局でも、時間外や休日などの加算があります。緊急のときは利用すべきですが、できる限り診療時間内に受診するのがおすすめです。
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取材・文/金野和子