「腸のつぶやき」を聞いて「隠れ血糖トラブル」を発見!/糖尿病の最新知識(5)

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糖尿病にならない、悪化させないための理想の血糖値は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー。血管内でヘモグロビンがブドウ糖と結合したもの。この数値が高いと、血管内のブドウ糖が多い高血糖であることを示す)が5.6%未満。注意すべき4つのポイントをご紹介します。

前の記事「いますぐ始めたい! 血糖値を上げない理想的な5つの食べ方/糖尿病の最新知識(4)」はこちら。

  

1 「腸のつぶやき」を聞いて「隠れ血糖トラブル」を早期発見

血糖値が空腹時には正常なのに食後に急上昇する食後高血糖など、通常の検査では見つけにくい「隠れ血糖トラブル」は早く見つけておきたいものです。そのためには血糖値を小まめに測り、「腸のつぶやき」に耳を傾けることが大切です。

血糖値の測定器は指先に針を刺して採血するタイプが主流で、チクリとした痛みや違和感があり、面倒なもの。つい最近、腕にコイン大のセンサーを固定し、そこに測定器本体をかざすだけで細胞組織の中の糖量を測定できる装置が保険適用になったので、関心があれば主治医に聞いてみましょう。

食後血糖値の急上昇や、眠っている間の低血糖、薬を飲んだ前後の数値などが明確になり、針を刺す痛みや手間をかけずに、隠れ血糖トラブルを発見することができるようになりました。

伊藤先生は「隠れ血糖トラブル」を考えると、HbA1cが5・6%以上の人は、油断せずに糖尿病専門医に相談することをすすめます。血糖値は全身のホルモン分泌が正しく機能しているかどうかを見極めるためにも利用できますし、血糖異常を早期に発見して正常に戻せれば、糖尿病だけでなく、認知症やがんも予防できるのです。

手軽な測定器を使って自分の血糖値の変化を知ること、そして食欲、便通など、おなかの調子について関心を持つことも、糖尿病をはじめとする生活習慣病を予防するためには大切なことなのです。なぜなら腸内フローラには、健康を維持するたくさんの働きがあるから。さあ、あなたも今日から「腸のつぶやき」を聞いてあげましょう!

<腸内フローラが働くと・・・>
・血圧安定
・肝機能の活性化と保全
・腎機能の活性化と保全
・ホルモンやビタミンの産生
・脂質代謝の改善
・糖代謝の改善(血糖値を安定)
・免疫機能の働きの改善
・腸内pHの安定
・病原菌、有害菌の増殖抑制
・感染予防
・腸の運動を活性化
・有害物質の分解、排泄促進
    ↓
腸内フローラが短鎖脂酸(肝臓、筋肉、腎臓のエネルギー源)を作り、インクレチンの分泌も促進
    ↓
膵臓に作用してインスリン分泌を促進

腸内フローラのバランスを保つコツ
・食物繊維を摂る
・よく動く
・良い睡眠
・快便・乳酸菌を摂る
・塩分控えめ

  

構成/高谷優一 取材・文/宇山恵子

  

残り3つの注意ポイント「「家族歴」のある人は要注意! 早めの血糖コントロールを/糖尿病の最新知識(6)」はこちら。

  

「腸のつぶやき」を聞いて「隠れ血糖トラブル」を発見!/糖尿病の最新知識(5) 伊藤 裕(いとう・ひろし)先生
<教えてくれた人>
伊藤 裕(いとう・ひろし)先生
慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授。京都大学医学部卒。専門は高血圧、糖尿病、腎障害、抗加齢など。ホルモン分泌のメカニズムにも詳しい。最新刊(監修)は『糖尿病は先読みで防ぐ・治す』(講談社)。
 
この記事は『毎日が発見』2017年10月号に掲載の情報です。

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