しもやけは平均気温5度程度、気温差10度以上で増える
寒い季節がやってくると、指やつま先が腫れて、じんじんとかゆくなる「しもやけ」。漢字では「霜焼」と書き、一部の地 方では「雪焼(ゆきやけ)」ともいいます(積雪の反射光線の紫外線のため皮膚がやけること。東北地方の日本海側などでは「しもやけ」と同義の言葉として使う地域もある)。
霜や雪で焼けるとはなんとも不思議な表現ですが、その症状は、冷えによる血流の滞りから炎症が起き、熱をもってじんじんとむずがゆい、痛がゆいと、まさに「霜焼」「雪焼」なのです。
しもやけは手や足の他に、耳たぶや頰にもできることがあります。ひどくなると皮膚の表面にあかぎれや、水ぶくれができることもあります。
しもやけができやすい条件は、平均気温が5度程度で一日の温度差が10度以上の時期といわれています。真冬よりも季節の変わり目である冬の始めと終わりに症状を訴える人が増えます。
どうして温度差があるときに、しもやけになりやすいのでしょうか。人体には動脈が血を全身に送り、静脈が血を心臓に戻す循環がありますが、動脈は気温の低下に対し敏感に反応して活発に血を送る一方、静脈は動脈よりも鈍感で血流をすぐには増やせません。動脈が送った血が静脈で戻れないとなると体の末端部でうっ血します。それが周囲に炎症を起こすのです。
しもやけになるのは体質の違い?一番の対策は「予防」です
同じ環境で生活をしていても、しもやけになるか、ならないかの差は、体質によるといえるでしょう。冷え症の人はしもやけになりやすいようです。子どもの頃にしもやけに悩み、大人になったら改善した人が高齢にな るとまたしもやけになりやすくなる場合があるようですが、それは壮年期に比べて筋肉量が減って基礎代謝が低下し、それに 伴って血行が低下したことが一因かもしれません。
皮膚科を受診した場合、血行を改善する薬などが処方されます。しかし一度しもやけになると治りづらいため、一番の対策は「予防」なのです。しもやけになりやすい人は、手足を冷やさないようにして、お風呂でマッサージをしたり、食事に気を付けるなど心がけましょう。
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取材・文/三村路子
勝野達郎(かつの・たつろう)先生
千葉大学柏の葉診療所所長。千葉大学医学部附属病院准教授。東洋医学、漢方内科。 同診療所は、国立大学法人として自由診療による漢方治療を開始。保険適用外の生薬も活用するオーダーメイド処方を行っている(完全予約制)。