60歳をすぎても、「今日行くところ」と「給料日」がある......これって思った以上に幸せなこと。趣味に、おけいこに、交友関係にと、老いの時間を豊かに生きるためには毎月ちょこっとでも現金が必要。「年金だけでは暮らせない」と不安に怯えるよりも、仕事を探して働きませんか。いきいきと働くシニアに取材して、仕事を得るノウハウや、自分らしく働き続けるコツを、実例を交えてご紹介します。
※この記事は『65歳で月収4万円。 年金をもらいながら ちょこっと稼ぐコツ』(阿部絢子/KADOKAWA)からの抜粋です。
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「のんびり働く」「ちょっと稼ぐ」仕事はあるのか
退職金がそこそこ出て、貯金もあり、年金もそれなりにもらえる。それなのに、60歳過ぎてまで、無理して働かなくてもいいのではと、若い世代の方々は思うかもしれません。
でも、私たち60代、70代は、テレビ三昧や読書三昧だけの毎日では味気ない、人生をもっともっと楽しみたいと思っているのです。友人たちとおしゃべりしたい、旅もしたい、趣味や習い事、買い物も楽しみたい。それに、貯金にはなるべく手をつけたくない。だから、60歳からの人生を充実させて暮らすため、少しでもいいから働いて、現金を手にしたい、と考えているのです。
そう考えていたとしても、そうやすやすと、仕事はあるものでしょうか。この本に登場してくれた働く60代の女性たちのように、上手く見つかるものでしょうか。私たち世代が、仕事を探す際のキーワードは、「のんびり働く」「ちょっと稼ぐ」なのですから、選択肢は少ないかもしれません。
まずは、60代の女性には、どんな仕事があるのかを、調べてみることにしました。知らなければ、何事も始まりません。ひょっとしたら、面白い仕事が見つかるかもしれないのですから。
どこへ行ってみたらいいのか、皆目、見当が付かなかったのですが、取材したK・Kさんの言葉を思い出し、まずは動けと、出かけてみました。
シニア向け就職支援センターに出かけてみると
出かけたのは飯田橋にある「東京しごとセンター」(公益財団法人東京しごと財団)です。ホテル隣のとても目立つ、立派なビルで、東京都がこんな素晴らしい施設を持っていたことを、初めて知りました。
入り口を入ると、あまりにも広いロビーで、どこに行けばいいのかわからず、ウロウロ。目の前に受付があるのさえ、見えなかったのです。受付で、「初めての方は、総合相談に立ち寄り、利用案内や適切な窓口を紹介してもらってください」と教えられ、「利用申込書」に記入し、相談ブースへ。
ここでは、公共職業安定所(ハローワーク)と連携を取りながら、仕事を探すすべての年齢層を対象にして、サービスを提供しています。
仕事を探す人を、34歳以下(ヤング向け)、30~54歳以下(ミドル向け)、55歳以上(シニア向け)、女性再就職支援、専門相談と、年齢と目的によりそれぞれサービス内容を分け、その年齢に向く仕事探しをサポートしてくれるということです。
私は、自分向けの職種があるのかを調べたかったので、「しごとセンターカード」と「シニアコーナー利用者カード」を作成してもらいました。このカード提示でシニアコーナー室に入れます。
シニアコーナー室には、壁一面、ところ狭しと、求人募集ファイルがズラリと並んでいます。募集ファイルは、連携するハローワークから届けられるもので、ハローワークから求人があれば、すぐにファイルにセットされます。東京23区・市部などの求人が地域別に整理されていて、ほとんどの職種が1センチ以上の分厚いファイルとなっています。ここに足を運んでみれば、どんな仕事に募集が多いのか、最近の仕事傾向や時給の目安、自分が探している職種の状況がどうかを、いつでもすぐに知ることができます。
このファイル壁の反対側には、シニアコーナー相談員が常時5~6名座っていて、仕事を探す人からの相談を待ち受けています。ファイルの見方、仕事の探し方の些細な質問・疑問から、具体的な就職の相談、東京しごとセンターの支援活動の内容と説明、ファイルで見つけた希望の仕事への申し込みと相談など、すぐに相談に乗ってもらうことができる、仕事探しの強い味方です。
センターは、月曜から金曜の9時から20時、土曜は9時から17時まで利用できます。このような支援施設は東京都にしかなく、紹介してもらえる仕事場も都内に限られますが、東京近隣の方も利用できるとのことです。
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