60歳をすぎても、「今日行くところ」と「給料日」がある......これって思った以上に幸せなこと。趣味に、おけいこに、交友関係にと、老いの時間を豊かに生きるためには毎月ちょこっとでも現金が必要。「年金だけでは暮らせない」と不安に怯えるよりも、仕事を探して働きませんか。いきいきと働くシニアに取材して、仕事を得るノウハウや、自分らしく働き続けるコツを、実例を交えてご紹介します。
※この記事は『65歳で月収4万円。 年金をもらいながら ちょこっと稼ぐコツ』(阿部絢子/KADOKAWA)からの抜粋です。
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働く人の実態は
現役で働く人を仕事内容で分けてみると、私が多いのではと予想していた家事代行やスーパーなどでの仕事や自営業の方が意外と少なく、介護・福祉関係、施設清掃、厨房の調理補助といった内容が多かったのが特徴的でした。その中でも、特殊な仕事をしている方もいらっしゃいましたので紹介しましょう。
例えば、役所の各種統計調査員、学校図書館事務員、外国人家庭の子どもの家庭教師、小中学校の特別支援学級の補助員、テレビ番組やCMのエキストラ、1年かけて資格を取りマッサージ施術士になった方、ファミリーサポートセンターに登録して依頼があるときに児童の世話をする方などです。
どこで、仕事を見つけたのかという質問への回答は、実にさまざまでした。
新聞の折り込みチラシや新聞広告での募集を見て、知人や友人や同僚の紹介、シルバー人材センターに登録、近所で募集の張り紙を見て、市や教育委員会の公募へ応募といったところでしたが、最も多かったのが「知人や友人の紹介」と「シルバー人材センターに登録」で、仕事を得た人でした。
自分のことをよく知ってくれている知人や友人だから、その仕事に向いているとわかるし、また頼まれたら引き受けようと思い、働くわけです。もし、あなたが「チャンスがあったら働きたい」と思っているのなら、普段から、周りのみんなと仲良くしておくことが大切でしょう。
働く60代の女性の収入は、時給、働く時間や日数などにより、実態はまちまちでしたが、平均してみると、月収約4~8万円といったところです。その使い道は、生活費、交際費、趣味、貯金などとなっていました。
そして、大勢の人が、働く上で気を付けていることは「健康」と回答していました。身体あっての仕事であることを十分理解できているのも、人生経験豊富な60代の人たちならではだと、思います。
また、60歳過ぎて働くことを、気持ちの上ではどのように感じているのだろうか。私のように働きたくて働いているのか、どうなのか。仕事の内容にもよるでしょうが、その点についての回答を、興味を持って読みました。
驚いたことに、いやいや働く人はいませんでした。ほとんどの人が前向きな気持ちを持って働いていることがハッキリしました。その声を紹介しましょう。
「楽しい、充実感がある。嫌なことも含めて、これが人生だと思う」
「感謝してもらえることに満足。人と接するのが楽しいし、人生の先輩と接することで未来になりたい姿を感じることができる」
「週3回程度のパートですが、毎日の生活にメリハリができる気がします」
「仕事探しでは『残念ですが......』と断られてばかりだったので、採用されてうれしかった。仕事を与えられることは、誠にありがたいこと」
「毎日の生活時間をパートのローテーションに合わせ、大切に過ごすことができ、満足している」
「67歳で、働くところがあることに満足」
「かわいい子どもたちの笑顔を見ながら楽しく仕事しています。毎日、元気をもらっています」
「忙しいけれど張りがある。残業が多いのが、ちょっと不満」
「時間が不規則でつらいが、非日常の世界に関われて楽しい」
「月~金と仕事中心に、毎日の生活が回ることに満足です」
「働くことが好き」
「時間にゆとりがある。やりがいがあって楽しい。人間関係がよい」
「週2~3日のパートが、ちょうどいい」
みなさん、働くことを中心に、24時間を有効に使い、そしてオフの時間には、趣味や交際を楽しんでいる、とそんな姿が、アンケート結果から浮かんできて、決して無理した働き方をしていないことが想像できました。これは私を含めて、60代以上の世代だからこその、働き方なのでしょう。
これから定年や年金生活を迎える50代の人たちにぜひ真似してほしい、生き方の見本となる背中を、見せ続けていきたいものです。
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