年金生活、心配ではありませんか? 貯蓄をできるだけ減らさず、豊かに暮らすにはどうしたらいいのでしょうか。話を聞いてみると、副収入や賢い節約法、家庭内の会計のコツなどにちょっとしたヒントがあるようです。年金生活を工夫しながらはつらつと過ごしている人の方の例をご紹介します。
エコな節約で支出も無駄なく
静岡県に暮らす鈴木博子さん(66歳)の日課は、家庭菜園というには広い畑で野菜や花を育て、収穫することです。
「義母の畑を引き継いで、20種類の野菜やハーブ、季節の花を育てています。水やり、雑草取りなど毎日の作業は大変ですが、皆さんに花を褒めてもらえるのもうれしいことです」。
自分の畑で野菜を収穫。一面に咲くお花屋ハーブも、道行く人から褒められるほど見事。
8年前にご主人を亡くし、現在は1人暮らし。主な収入は遺族年金ですが、その他自宅でピアノの講師をしたり、趣味の手作りを生かしてイベントや教室で教えたりして、合計で月に2~3万円の収入を得ています。
こうした収入以外に、個人年金の準備もしてありました。
「妹が銀行に勤めていたので、資産運用や生活設計は任せっきり」という内容は、60~70歳に受け取れる生命保険の個人年金に加入し、その先の10年はまた別の個人年金が出るように組み立て、月に5~6万円は支給されるよう計算されたもの。おかげで収支は黒字です。
「持ち家ですので、住居費は管理費や駐車場代程度しかかかりません。ただ、毎週行くランチなど外食も多く、食費は結構かさんでいますが、楽しみでもあり、減らす予定はありません」。
ただし、普段の生活は節約が徹底していて無駄がありません。野菜や果物は丸ごと食べる工夫をし、食器洗いのすすぎ水はベランダの花の水やりに使用。ペットボトルのふたや箱など不用品も布を使ってリフォームし、再利用しています。
「もともと、節約とエコに気遣いながら暮らすのが好きなのです。仕事や趣味ができて、いまの生活に満足しています」。
【豊かに暮らすためのヒント】
●月に2~3万円はプラス収入を確保
布で作った和菓子は、本物そっくりの仕上がり!
畑に咲いた花を押し花にしてはがきに。これらの作品を手作り教室などで教え、ピアノ講師料と合わせて副収入に。
●畑の食材を食べ尽くして節約
野菜や果物は自宅で食べる分は賄えるぐらいに作っている。
大根は切り干しにして食べ尽くす。
かんきつの皮は干してお菓子にしたり、果汁とジャムにする。
■1カ月のおおよその家計簿(1人分)
主な収入は遺族年金と個人で積み立てていた個人年金。副収入もあり、1人分の生活費としてはいまのところ黒字で賄えている。支出で食費が多いのは、近所に住む子どもの家族が遊びに来たときの外食代なども含むため。趣味代は手作りに使う布代や小物代など。制限しないときりがないので、4,000円までと決めている。
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取材・文/細川潤子 撮影/吉田修三