介護してもらえない時代が到来する? 支えられ上手の被介護者になる6カ条

ご両親が元気なうちは、「介護なんて当分先のこと」と他人ごとのようにお考えの方も多いでしょう。しかし介護は突然やってきます。想定もしなかった事態に戸惑い、余計な負担まで背負い込んだ結果、心身の健康を害してしまうこともあるのです。突然の事態に動揺しないためにも、いまから準備をしておくことが大切です。

そこでうまく乗り切るための心構え、準備しておくべきこと、介護サービスを受ける方法、介護サービスの仕組み・精神面・金銭面のアドバイス、予防などについて、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生に教えていただきました。

介護してもらえない時代が到来する? 支えられ上手の被介護者になる6カ条 pixta_34798187_S.jpg前の記事「要介護にならないために。「社会との交流」「食事」「運動」が介護予防の3か条!(9)」はこちら。

 
支えられ上手になるための「介活(介護活動)6カ条」

いざ、介護が必要になったときにスムーズかつ心地よいサービスを受けるために、いまから実践しておきたいのが結城先生の提唱する「介活(介護活動)6カ条」です。介護保険サービスを利用している方々の中には、「やってもらって当たり前」という認識の方もいらっしゃるかと思います。

しかし、現在、ヘルパーや介護士は、離職率も高く、人材不足の状況で、将来的には、介護する側が被介護者を選ぶという可能性もあるのです。介護される側が横柄な態度だと嫌がられ、質の低いサービスになる可能性もあります。逆に「あの人なら介護したい」と思わせることが大切。支えられ上手になれば、通常のサービス以上のサポートが期待できるかもしれませんので、以下の6カ条を実践しましょう。


1.「支えられ上手」になりましょう
最近、介護士やヘルパーがパワハラを受けているニュースが取り上げられていますが、自分も加害者になる可能性があることを認識しましょう。介護保険料を支払っているのだから、サービスを受けるのは当たり前という考えは禁物です。介護士らと「おはよう」「ありがとう」といったあいさつ・お礼のコミュニケーションをとること。誰しも素直でかわいい性格の人の方がいいのは当然で、支えられ上手になればいいサービスを受けられる可能性が高まります。また家族もパワハラ、セクハラの加害者になる可能性があるので気を付けましょう。


2.介護サービスの情報は「口コミ」から得ましょう
各施設の介護サービスの評価は、利用者がいちばんよく知っています。普段からサービスを実際に受けている人が身近にいれば、その声を聞いて情報を集めておきましょう。意外と友人や親族をはじめ身近に利用している人がいます。また、パンフレットが駅や市区町村役場などに置いてあるので、普段から意識して情報収集に努めましょう。


3.元気なうちから「介護」について話し合いましょう
介護の問題は、元気なうちから周囲と話し合っておくことが大切です。というのも、他人ごとのように考えがちですが、介護が必要な状態になってからでは、さまざまな相談ができず、慌てることになりかねないからです。普段から「介護保険の手続き、認知症について勉強しよう」と家族や友人で話し合い、「介護」に関する知識を身に付けましょう。

また、ご両親がプライドや介護への羞恥心から話題にすることを避けたがるケースもあります。その場合、介護に関連する本を見せたり、さりげなく机の上に置くなどして、会話のきっかけを作りましょう。セミナーに誘ったり、知り合いの介護状況について話をするのもおすすめです。


4.必ず「かかりつけ医」を持ちましょう
日本は医療機関が多く、どこでも受診できる環境にあります。しかし、要介護認定の申請には主治医の意見書が必要なため「かかりつけ医」がいると、手続きがスムーズに進みます。そこで、60歳を過ぎたら、健康について普段から相談できる医師を見つけておくことが重要です。要介護認定の申請や入院となった場合に深くかかわってきます。


5.相談できる人や相談できる機関を持ちましょう
介護が必要になったときに相談できる人や気軽に相談できる機関・窓口を知っておきましょう。例えば、元気なうちから「介護予防教室」といった教室を開催する地域包括支援センターに行き、スタッフと関係を築いたり、かかりつけの医師に相談するのも一つの方法。情報や機会は与えられるのを待つのではなく、積極的に得るようにしましょう。


6.元気な間は「仕事・ボランティア」を積極的にしましょう
元気で動けるうちは、積極的に仕事やボランティアをしましょう。外出するといろいろな面から刺激を受けることから、介護予防にもなります。特にお金を稼ぐことは社会とのつながりを感じ、モチベーションを高めることができます。

また、介護ボランティアもおすすめです。施設のスタッフと人間関係が構築でき、自分自身に介護が必要になったときに相談ができます。ボランティアは人のためでもありますが、人とのつながりを広げることができるのも強み。いざ自分が困ったときに役立つと捉えて、活動しましょう。


介護保険制度は将来的になくなる可能性があると考えましょう
介護保険制度が20~30年後も同じように継続していると思っていたらいけません。将来的には、介護保険以外のサービスを利用しないと、十分な介護サービスを受けられなくなる可能性があるのです。安心してサービスを受けるためにも、ご家族やご自身の介護費用の貯蓄をおすすめします。さらに、日頃から周りの人へあいさつや感謝の言葉をかけるようにして、介護が必要になったときに心地よく暮らすための準備として「介活」を心がけましょう。

 

取材・文/中沢文子

 

結城康博(ゆうき・やすひろ)先生

1969年生まれ。淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)、経済学修士、政治学博士。社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士の有資格者。地方自治体に勤務、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護部署などの業務に従事。テレビ、新聞、雑誌など多岐にわたり活動中。新刊『突然はじまる! 親の介護でパニックになる前に読む本』(講談社)など著書多数。

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