老化とは「水分が失われること」です。認知症を防ぐ「朝と夜に1杯の水を飲む習慣」とは

「親が認知症になってほしくない...」介護のことも考えて、そう思う人も多いでしょう。東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生は「認知症は予防できる病気で、何もしないのはもったいない」と言います。そこで藤田先生の著書『親をボケさせないために、今できる方法』(扶桑社)より、食事と生活の中での「認知症の予防策」についてご紹介します。

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老化とは、身体から水分が失われていくこと

今の高齢世代は、「水を買ってまで飲むのはもったいない」という人が大勢います。

でも、「たかが水」と飲み水をあなどっていては、認知症を防げない、と私は考えています。

なぜでしょうか。

脳の約80パーセントが水でできているからです。

脳の健康において、水ほど大切なものはありません。

水がわずかでも減ると、脳は正常に働けなくなります。

それほど脳は、水分不足に弱いつくりになっています。

たとえば、身体から水分がわずか1~2パーセント減っただけで、意識レベルが低下し、思考力や記憶力が落ちてしまうのです。

「何かをやろう」「がんばろう」という意欲も失われやすくなります。

しかも高齢になると、身体の水分を保つ力が衰えます。

生まれたての赤ちゃんは体重の約80パーセントが水分です。

この量は加齢とともに減っていき、成人では約60パーセント、高齢になると約50パーセント台になります。

つまり、老化とは身体から水分が失われていくこと、ともいえるのです。

しかも女性は、男性より2倍の速さで水分が失われます。

平均すると、男性の約5パーセントも少なくなっているとも推計されています。

アンチエイジング(抗加齢)などに特別な努力をしていない同年齢の男女を比べると、女性のほうがシワが多く、老けて見えることが多いのは、このためでもあるのでしょう。

また、認知症になって脳の働きが低下すると、「傾眠傾向・夜間覚醒」という症状が起こってきます。

日中はウトウトと寝てばかりいたのに、夜になると急に活動的になって、外出しようとしたり、大声で家族を呼んだりする症状が現れてくるのです。

こうした昼夜逆転の症状も、水を飲むことで「ほぼ100パーセント、1日か2日で改善する」と、竹内孝仁(たけうちたかひと)・国際医療福祉大学大学院教授は『認知症は水で治る!』という本で語っています。

就寝前に1杯の水を飲むことで、脳が落ち着き入眠しやすくなるからです。

ただ、就寝前の水には、「アルカリ性のミネラル分の少ない軟水」を親にすすめてください。

硬水はミネラルが豊富なぶん、睡眠中の胃腸に負担をかけやすいためです。

認知症を防ぐ、朝と夜に飲む1杯の水

それでは一日にどのくらいの天然水を親に飲んでもらうと、認知症の予防によいのでしょうか。

外気温や汗のかき方などにもよりますが、だいたい1・5~2リットルです。

水は、のどが渇く前に飲むようにうながしましょう。

高齢者はのどの渇きを感じにくくなっているからです。

通常は体内の水分がわずか2パーセントでも減ると、のどに渇きを感じるようになっています。

ところが高齢世代は、「のどが渇く」という感覚も、鈍くなっています。

ここはきちんと伝え、自覚してもらうところです。

水分補給は、脳だけでなく命を守る重要事項なのです。

もしも、体内の水分が2パーセント失われたまま、水分補給をしないで過ごしてしまうと、どうなるでしょうか。

3パーセント減ると、今度はのどの渇きを感じなくなります。

6パーセント減ると、脱水症状を起こします。

そして、体重のわずか10パーセントが失われると危機的状況に陥り、20パーセント失うと死んでしまうのです。

毎年夏になると、熱中症を重症化させてしまう高齢者が大勢います。

「のどが渇いていないから」と水分補給をきちんとしないために、救急車で運ばれるような事態を引き起こしてしまうのです。

親がいう「のどが渇いていない」という感覚は、もはやあてにならないということです。

では、どうすればよいのでしょうか。

水はタイムテーブルを決めて飲むのが、いちばんよい方法です。

まずは、朝の起床後に1~2杯の水を飲みます。

睡眠中、身体は大量の水分を失っています。

汗と呼吸による水分の放出によって、平均で約500ミリリットル、多いときには1リットルも失われています。

そのため、起きたときには身体はカラカラ、血液はドロドロの状態。

起床時に頭がボーッとしやすいのは、脳が水分不足で意識レベルが落ちているからでもあります。

また、早朝に脳卒中や心筋梗塞が起こりやすいのは、睡眠中に身体から多くの水分が失われ、血管がつまりやすくなっているためなのです。

この状態はすぐに解消しなければいけません。

そこで、コップ1~2杯の水を飲んでもらいましょう。

このときに飲みたいのは、「アルカリ性の天然の軟水」です。

アルカリ性の軟水とは、pHの値が7・0以上で硬度が100mg/L未満の水です。

こうした情報は、ペットボトルのラベルに記載されています。

身体に優しい水です。

キリリと冷やした水を飲めば、覚醒作用が働き、朝の目覚めがよくなります。

一方、日中は前述したような硬度の高い天然水を「ちびりちびり」と飲むよう伝えてください。

水を一度にたくさん飲んでも、腸はうまく吸収できません。

一口ずつゆっくり飲むことで、水に含まれるカルシウムなどのミネラルを、身体は最大限に吸収していくことができます。

朝食抜きの物足りなさも紛らわせられます。

なお、硬度の高い水は、便秘解消の効果もあります。

高齢者のほぼ100パーセントが便秘になるとも報告されています。

半面、飲み慣れていないと、下痢をしてしまう人もいます。

おなかが痛くなってしまう場合は、硬度が100mg/L 程度の水から始めてもらい、だんだんと硬度の高い水を選んでいくとよいでしょう。

夜、入浴の前後と就寝前にもコップ1杯の水を必ず飲んでもらってください。

夜に飲む水は、前述したとおり、身体に優しい「ミネラル分の少ない軟水」がベストです。

【まとめ読み】『親をボケさせないために、今できる方法』記事リスト

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高齢の親の認知症を予防する「具体的な59の方法」が、4章にわたって解説されています

 

藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)
1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学名誉教授。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。『笑うカイチュウ』(講談社)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』(ワニブックス)、『デブ菌撃退! つくりおきレシピ』(扶桑社)など著書多数。

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『親をボケさせないために、今できる方法』

(藤田紘一郎/扶桑社)

「70歳を過ぎたら、食生活は変える!」自身も80歳を超えて不調に見舞われた著者が、自身の経験と医学的見地から「朝食を抜く」「週2回、肉を食べる」などをわかりやすく解説。子供の目線から「親への伝え方」まで配慮された、アラフィフ女性にぜひ読んでもらいたい一冊です。

※この記事は『親をボケさせないために、今できる方法』(藤田紘一郎/扶桑社)からの抜粋です。

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