救世主現る!?義父の「もの忘れ外来」に付き添ってくれた義姉だが...ええぇ!?そりゃないよ(涙)/別居嫁介護日誌

「妊娠・出産・育児」をすっとばして、いきなり「介護」が始まった! 離れて暮らす高齢の義両親をサポートしている島影真奈美さん。40代にさしかかり、出産するならタイムリミット目前――と思っていた矢先、義父母の認知症が立て続けに発覚します。戸惑いながらも試行錯誤を重ね、いまの生活の中に無理なく介護を組み込むことに成功。笑いと涙の介護エピソードをnoteマガジン『別居嫁介護日誌』からご紹介します。なんとなく親の老いを感じ始めた人は必読!


こんにちは、島影真奈美です。頭を悩ませていた「ケアマネジャー選び」の突破口が見つかった前回。介護認定の申請も終え、あとは訪問調査の日が来るのを待つばかりとなりました。義父のもの忘れ外来は義姉が付き添ってくれることになり、ホッと一息つけるはずでしたが......。きょうだいとの意思の疎通のむずかしさが目の前にたちはだかります。

pixta_43438520_S.jpg前の記事「2つの条件は譲れない!満身創痍、ズタボロな私の「ケアマネ」クエスト!! /別居嫁介護日誌(19)」はこちら。

 
ケアマネ捜しをめぐるやりとりですったもんだはしたものの、なんとか無事、介護認定の申請を終えた。訪問調査の日程も確定し、あとは決戦の日を待つばかり......の前に、義父の認知症確定診断が必要だった。

介護認定申請の約10日後、義父は改めてもの忘れ外来を受診することになっていた。病院に付き添いは義姉が引き受けてくれた。受診日までの間に、以前「認知症ではありません」と診断された病院から検査データを取り寄せたり、実家に行き「お薬カレンダー」に1週間分の薬をセットしたり......と、粛々とサポート業務をこなした。

そして、義姉に受診時にお願いしたいことをLINEメッセージで送った。
お願いしたのは次の3つ。
1)お父さんの薬(現在飲んでいるもの)と、お薬手帳を持参
2)受診後、お父さんの薬の「一包化」をクリニック医庵隣の薬局で依頼
3)帰宅後、日付と飲む時間に合わせてお薬カレンダーに1週間分の薬をセット

服用タイミングが同じ薬を、薬剤師さんが1袋にまとめてくれる「一包化」については、補足説明として、解説がわかりやすいサイトのURLを貼り付けた。

義姉からは「お薬一包化の件わかりました、ホームページも見ました。便利なシステムがあるんですね。全く知りませんでした」と返事が来た。淡々としていて、親の認知症をどう受け止めているのか、文面からはよくわからない。

ただ、「年下の義妹に仕切られるなんて腹立つわー」みたいな気配は感じられなかった。そのことにまず、ホッとする。なんせ我々は「親はもう高齢だってこと、真剣に考えなさいよ!」と正月早々、姉に金切り声を上げられていた弟に、その妻である。

責められ、詰め寄られるのはもっぱら夫で、私は糾弾されるターゲットから外れていたけれど、何かの弾みでロックオンされても仕方ないだろうなとも思っていた。ところが、今のところ、義姉とのやりとりにネガティブなものは伝わってこない。それはとてもありがたいことだった。

さて本題に戻りたい。受診にあたっての義姉へのお願いごとである。薬のことばかり、あれこれお願いしているのには理由があった。

義父母はそれぞれ、いろいろな医院・クリニックで薬をもらっていて、その管理が凄まじくややこしい。本人たちではとても管理ができないし、新旧さまざまな薬がありすぎて、わたしもお手上げだった。「お薬カレンダー」にセットしようにも、とにかく種類が多い。レジ袋にぎっしり詰まった薬が、何袋もあったのだ。

そんなカオスな状況から救ってくれたのは、もの忘れ外来クリニックに隣接する薬局の薬剤師さんだった。本来は別の薬局で出された薬は一包化の対象から外れる。でも、あまりの惨状を見かねてか、「ご家族も大変でしょうから」と大量の薬を仕分けし、必要な分だけをより分け、一包化してくれた。

義父の受診には義姉が付き添うことも、その薬剤師さんに連絡してあった。受診当日は「今飲んでいる薬」と、クリニックで渡される処方せんを薬局の窓口に持ちこみさえすれば、あとは良きように、薬剤師さんが取り計らってくれる約束になっていた。薬を飲むべき日付や時間(朝・昼・夕など)も、薬局側で各袋に印字してくれもらえる。その記載にしたがってカレンダーにセットすればいい。

我ながら、かゆいところに手が届く下準備。介護初心者さんも、これならバッチリ! と、すっかり安心しきっていたが、それは慢心以外の何ものでもなかった。

義父のもの忘れ外来受診があった日の夜、LINEグループに義姉から届いたメッセージにはこうあった。
「父が先に出かけてしまったため、薬をクリニックに持ち込むことができませんでした」

なんのこっちゃ、である。

実はこの日、義姉は義父母と約束した時間に間に合わなかった。ほんの数分だったのか、大幅な遅刻だったのかはわからない。ただ、義父母は「予約の時間に間に合わなくなる」と不安に駆られ、自分たちでタクシーを呼び、もの忘れ外来クリニックに向かった。

薬局に持ち込むはずだった「今飲んでいる薬」は、そのまま実家の引き出しの中にあった。処方された薬も、一包化されてなかった。クリニックの隣の薬局には寄らずに、近所にある義父行きつけの薬局に行き、一包化の依頼もしなかったという。

さらに、義姉から次回の予約日時と一緒に、こんなメッセージも届いた。
「今日の様子では、予約時間に合わせて現地にタクシーで行くことはできそうです。私も実家に寄らずに済めばその方が助かります」

UP第20話別居嫁介護日誌.jpg

 

夫にLINEグループの画面を見せると「これは......」と絶句した後、「何考えてんだよ! 親が認知症だってわかってんのかよ」と怒りだした。日頃、無関心に見える夫の態度からすると、意外に思えるほど真剣にブチ切れていた。ガチギレ一直線である。

しかも、やみくもに心配し、腹を立てているわけではなく、現時点で親ができること・できないことを、こちらが想像していたよりもずっと的確に把握していた。

そっか、この人は親が認知症だとわかっているし、受け入れてるんだ。

初めて、そう思えた瞬間だった。

●今回のまとめ

・薬の飲み忘れや飲み間違いを防ぐには「一包化」(いっぽうか)が便利
・薬局はあちこち行くよりも、親身になってくれる薬剤師さんがいるところに集約したほうが薬の管理をしやすくなる

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イラスト/にのみやなつこ

 

島影真奈美(しまかげ・まなみ)

フリーのライター・編集として働くかたわら、一念発起し、大学院に進学した数ヵ月後、夫の両親の認知症が同時発覚。なりゆきで介護の采配をふるうことに。義理の関係だからうまくいくこと、モヤモヤすること、次から次へと事件が勃発。どこまで理解しているのか謎ですが「ぜひ書いて!」という義父母、義姉、夫の熱烈応援(!?)に背中を押され、この体験記を書き始めました。朝日新聞「なかまぁる」にて「もめない介護」を連載中。

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