生きるとはどういうことか、孤独とは、愛とは何か――。誰かを愛するがゆえに、心に生じてしまう苦悩。そんな迷いや苦しみを和らげてくれる「生き方のヒント」が、瀬戸内寂聴さんの最新刊『愛に始まり、愛に終わる 瀬戸内寂聴108の言葉』(宝島社)には詰まっています。柔和な笑顔で人々を励まし、救ってきた瀬戸内さんの人生哲学は、きっとあなたの「心の栄養」に。御年99歳を迎えた瀬戸内さんの、胸に響くメッセージの一部をお届けします。
【前回】瀬戸内寂聴108の言葉「あの人は苦しいんじゃないかなあ、なんて思えるときは・・・」/愛に始まり、愛に終わる
【最初から読む】「男と女の間には永遠に渡りきれない川が流れていて」
【無常について】雑誌の特集で「未婚の一人娘が心配」という読者からの相談に答えて。―2017年12月
しきたりや道徳といったものは、時代とともに変わっていくもの。
あなたは、「家庭に入ったら女は幸せ」だと思っていませんか?
若い頃、「早く結婚しなさい」と言われて育ってきたからでしょう。
私の時代はもっとすごくって、21歳でお嫁に行くのが普通、遅くとも23歳には行かないと売れ残りと言われました。
でも今は、そういう時代ではありません。
今の若い人は結婚しなくても平気。
理由は、仕事ができて、自由で楽しいからです。
昔の女性は仕事をすることが許されず、できてもお茶くみくらい。
でも今はみんな、やりがいのある仕事が持てています。
社会の環境が、まったく違うのです。
離婚も増えましたね。
私の法話を聞きに来た女性たちに「離婚したことある人、手を挙げて」と聞くと、大半の人が手を挙げる世の中です。
たとえ結婚しなくても、離婚して子どもがいても、自活できる。
そして嫌な姑に仕えることがない。
女性にとって、いい時代です。
しきたりや道徳といったものは、時代とともに変わっていくもの。
私のように長く生きてきた人間は、それをすごく実感します。
【次回】瀬戸内寂聴108の言葉「今の五十歳なら人生を仕切り直せます」/愛に始まり、愛に終わる
「愛」「無常」「老」「死」など8つのテーマに対して、瀬戸内さんが説く、生き方のヒント。「生きたあかし」とは何か、そして人生の道しるべが示されています