生きるとはどういうことか、孤独とは、愛とは何か――。誰かを愛するがゆえに、心に生じてしまう苦悩。そんな迷いや苦しみを和らげてくれる「生き方のヒント」が、瀬戸内寂聴さんの最新刊『愛に始まり、愛に終わる 瀬戸内寂聴108の言葉』(宝島社)には詰まっています。柔和な笑顔で人々を励まし、救ってきた瀬戸内さんの人生哲学は、きっとあなたの「心の栄養」に。御年99歳を迎えた瀬戸内さんの、胸に響くメッセージの一部をお届けします。
【愛について】雑誌のインタビューのなかで、男女の愛のあり方について語って。――2002年9月
男と女の間には永遠に渡りきれない川が流れていて、その川を無理に飛び越えて一緒になろうとするから、川にポチャンと落ちて沈んでしまう。
私は、いろいろ経験した末に思ったのですが、激しく愛し合っていても、やはり男と女は違うんですね。
男と女の間には永遠に渡りきれない川が流れていて、その川を無理に飛び越えて一緒になろうとするから、川にポチャンと落ちて沈んでしまう。
だから、お互いに両岸を同じ方向に向かって、相手をチラチラ見ながら歩くのが一番いいと思うの。
女のほうが遅れていたら、男はちょっと待ってあげたり、女が小走りになったり。
お互いに、手を振りながら、「オーイ」と声をかければ、「ハーイ」と答えがすぐに返ってきて、笑顔がはっきりと見える程度の距離で歩いていく。
夫婦というのはそういう関係が理想だと思います。
【次回】瀬戸内寂聴108の言葉「とにかく、いがみ合うのはやめようね」/愛に始まり、愛に終わる
「愛」「無常」「老」「死」など8つのテーマに対して、瀬戸内さんが説く、生き方のヒント。「生きたあかし」とは何か、そして人生の道しるべが示されています